ブックタイトルファーストコールカンパニー宣言

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概要

ファーストコールカンパニー宣言

ファーストコールカンパニー宣言1顧客価値のあくなき追求29 他方、写真フィルム市場が一〇分の一に縮小する「本業の市場消滅」という現実に向き合い、変革を成功させたのが富士フイルムである。コダックとの違いは、顧客価値との向き合い方だ。デジカメの開発に注力しつつ、写真フィルム技術を応用した新事業を立ち上げ、見事に成長軌道に導いた。変化を経営するモデル企業と言える。「自社が提供する価値を理解し、代金を払ってくれる現在の、そして未来の顧客は誰か?」。それが「真の顧客」である。顧客価値が大転換する現在は、「取引額ナンバーワンの顧客」が真の顧客でなくなる可能性がある。米国の経営学者、クレイトン・クリステンセン教授は、「イノベーションのジレンマ」理論でライバルとの競争戦略に過度に依存する誤りを指摘している。 日本の自動車メーカーA社が燃費二〇キロメートル/リットルを達成すれば、B社は三〇キロメートル/リットルを目指し、それが実現すればC社が四〇キロメートル/リットルを目指す。三社の競争戦略の資源配分は「どこまで燃費を向上できるか」という技術競争に費やされる。そのうち、「免許を取らない人が増える中で、燃費競争だけが顧客価値なのだろうか?」という素朴な疑問がわく。 他方、ドイツのプレミアムブランドBMWは、燃費はそこそこでも「駆け抜ける歓び」を提案し、運転する楽しみを提供している。同じくメルセデス・ベンツは、高級感と安全性を提供している。どちらも燃費競争よりブランド価値を優先させ、世界中で販売台数を伸ばしている