セコム その経営と真髄 page 10/12
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52 2人をトップという観点から見ると、大いなる共通点がある。それは、表現力が豊かなことだ。その主張に賛否両論はあれ、反対意見の人まで、なぜか耳を傾けてしまう。そして話を聞いているうちに、なかなか面白い....
52 2人をトップという観点から見ると、大いなる共通点がある。それは、表現力が豊かなことだ。その主張に賛否両論はあれ、反対意見の人まで、なぜか耳を傾けてしまう。そして話を聞いているうちに、なかなか面白いことを言う、と人々に思い込ませる。リーダー、とくに不特定多数の人々や大きな組織を動かしているトップには、声色、話し方も含めて、アジテーター的要素が欠かせない。それは、一種の演技力であると言えよう。飯田氏も石原氏に負けない名優である。 飯田氏は「もう一度人生がやり直せるとしたら」という質問に、次のように答えている。「アメリカで生まれたい。まずアメリカンフットボールの選手になり、次いで歌手になり、最後は事業家で締めくくりたい」 この言葉を筆者なりに理解して言い換えれば、「世界にイノベーションをもたらしている規制の少ない自由なビジネス風土のアメリカで、最も人気のあるスポーツのヒーローのように積極果断にトライし、人の魂を揺さぶる艶っぽい歌手のごとく人々を感動させ、自己実現のステージでは事業を通じて社会に貢献したい」といったところだろう。3つの職業に共通するのは、表舞台に立つ「華々しい仕事」であることだ。やはり、名優志向である。 飯田氏世代の人々は、学徒動員で戦地に赴いたわけではない。実は、筆者がビジネス誌の編集者をしていた時、「第二次世界大戦」関連の特集をよく組みヒットしたが、その多くの読者は飯田氏のような「銃後の少年(少女)」だった。高度経済成長時代に企業戦士として必死で働きながら、我々は参戦しなかったがあの戦争とは何だったのか、と真剣に考えた。戦後を謳歌したよ