震災死

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021 第1章 医師がみた「大震災の爪痕」津波で身元不明者が多かった理由高木氏らは、2回目の検死として5月下旬に岩手県に向かった。1回目、震災直後に宮城県で検死を行なったときから懸念をしていた....

021 第1章 医師がみた「大震災の爪痕」津波で身元不明者が多かった理由高木氏らは、2回目の検死として5月下旬に岩手県に向かった。1回目、震災直後に宮城県で検死を行なったときから懸念をしていたことがあった。それは、顔がうっ血した遺体が多かったことだ。「時間が経つと、ご遺体は腐り、身元がわからなくなる可能性がある。特に血が滞ってうっ血しているところは腐りやすい。顔がわからないと、一段と身元の確認が難しくなる」その懸念は、現実のものとなった。遺体を診ると、顔から腐敗が進行しているものがいくつもあったという。高木氏が訪れた大おお槌つち町では、犬や猫など動物との区別が難しい遺体もあった。この町では、津波が押し寄せたときに火災が起きた。「焼死体のご遺体があり、小型犬ぐらいの大きさになっていた。砂利が混ざった炭のようになり、身元や死因はなかなかわからなかった」阪神淡路大震災(1995年)の場合は、ほとんどの遺体はその家の中で見つかった。今回は、自宅などからかなり離れたところで発見されることがある。これが、身元不明者が多い理由の1つと考えられる。