震災死

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020ご遺体の傷は比較的少なかった。このあたりはリアス式海岸ということもあり、津波の波は高く、その水圧で亡くなった人が多いように思えた。一方で、南にある地域では、津波が流れてくる流速で亡くなったと思える....

020ご遺体の傷は比較的少なかった。このあたりはリアス式海岸ということもあり、津波の波は高く、その水圧で亡くなった人が多いように思えた。一方で、南にある地域では、津波が流れてくる流速で亡くなったと思える人が多かった。田園地帯が多く、波をさえぎるものがなかったために、一段と加速したのではないか。足が切れて無かったり、頭が割れていたり、胸にがれきが刺さったままのものがあった」東松島市の遺体安置所では、警察官らが「津波警報が出たぞ、避難しろ」と大きな声を出した。警官らと一緒に一斉に安置所の2階に上がった。そこで2時間ほど待機したが、波が押し寄せることはなかった。そのときをかすかに苦笑いして話す。「デマのような情報が時折、流れていた。停電だったから、テレビを観ることはできない。ラジオを聴くこともあまりできなかった。携帯電話はつながらない。皆が正確な情報を得ることができていなかった」その後、東松島市の隣の石いしのまき巻市の遺体安置所を訪れたとき、その場の雰囲気が非常に厳しかったと振り返る。「正確な情報が知らされないために、多くの人が自分たちは見捨てられたと思い込んだのかもしれない。その頃、石巻市では金融機関からお金が盗まれたという情報も流れていて、怖い空気があった。正しい情報を早く伝えることは改めて大切、と感じた」