震災死

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017 第1章 医師がみた「大震災の爪痕」た」と報じられていたが、子どもの遺体も少なくないと映ったという。多くの遺体を診み ていくうちに、共通する特徴を見つけた。それは、顔がうっ血している遺体が多いことだ....

017 第1章 医師がみた「大震災の爪痕」た」と報じられていたが、子どもの遺体も少なくないと映ったという。多くの遺体を診み ていくうちに、共通する特徴を見つけた。それは、顔がうっ血している遺体が多いことだった。がれきなどが速い速度でぶつかり、胸部や腹部が圧迫され、頭部から心臓に血液が還かえらない状態に陥ったためと思われる。「海や川、プールなどで亡くなる溺死とは、ご遺体の状況が違った。これら狭義の意味での溺死は、気道に大量の水が一気に入り込み、呼吸ができなくなり、死亡する。今回の場合は、9割以上が津波による溺死ではあるが、それに複合的な要因が重なり、亡くなったと診断できるものだった」その複合的な要因とは、主に次の4つのものだという。これらの要因のうち、いずれかがほぼすべての遺体に見られた。高木氏は検死の際、遺体がこれらのうちどれに該当するかを診ていく。1つめは、胸部圧迫による死亡。圧迫を与えたものとして考えられるのは、たとえば船や車、家、がれき、さらに押し寄せる波の水圧など。これらが胸や腹部に時速数十キロのスピードで当たり、呼吸ができなくなった可能性がある。2つめは、一気に大量の水を飲み込むことでの窒息死。3つめは、いわゆる凍死。当日、津波に襲われた後、冷たい波の中で木などにつかまり救援を待ったが、寒さで体温が下がり、息を引き取った例がこれに該当する。