震災死 page 10/10
このページは 震災死 の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。
概要:
022私は亡くなった人は苦しんだのか、とも聞いた。高木氏はこう答える。「今回の震災に限らないが、それはご遺族の方からよく聞かれる問い。おそらく、今回は即死など短い時間で死亡したケースが多いと思う。強い水....
022私は亡くなった人は苦しんだのか、とも聞いた。高木氏はこう答える。「今回の震災に限らないが、それはご遺族の方からよく聞かれる問い。おそらく、今回は即死など短い時間で死亡したケースが多いと思う。強い水圧のために、脳に流れる血流が止まり、立ちくらみのような状態になり、意識を失った人も少なくないだろう」震災当日、津波から避難したことで家族を守ることができなかった遺族などへ配慮も示した。「避難したことは正しい判断だと思う。あのような災害のとき、まずは自らの身を守ることが大切。自分を守ることができない人が他の人を守ることはできない。助かった人は今、自責の念にかられているのかもしれない。その思いはわからないでもないが、自分を責める必要はないと思う」高木氏は検死を終えた1週間ほどは、体の具合が悪かった。遺体のことを思い起こし、夢にその姿が出てくることも続いたという。注 「検死」は医師らの中で慣習として使われている。通常、検察官(一般的には警察が代行)が異状死に対して外表検査を行なうが、これを「検視」と呼ぶ。医師が異状死に対して外表検査を行なうことを「検屍もしくは検死」。医師が検死した所見に遺体の病歴や警察の捜査情報などを加味して死因について検討することが「検案」と言われる。