次なる経済大国 page 8/10
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261995年半ばの円の反転もまた、同じくらい重要だったと思う。日本が、資産バブルの崩壊から立ち直ろうと四苦八苦し、超低金利が続くことが明白になり始めると、1996年から97年にかけて円は安値を記録した。....
261995年半ばの円の反転もまた、同じくらい重要だったと思う。日本が、資産バブルの崩壊から立ち直ろうと四苦八苦し、超低金利が続くことが明白になり始めると、1996年から97年にかけて円は安値を記録した。通貨がドルと連動しているアジア各国にとって、これは大問題だった。1973年から97年の間に、円は1ドル400円から80円へと推移している。アジア各国は、円が永遠に上昇し続けると考えていただろう。ところが、1995年半ばのように円安に転じると、ドル建てで巨額の債務を抱えていたアジア各国や企業は、その影響を受け始める。円が高値をつけ続ける限り、ドル負債を日本への輸出によって受け取った円で清算できるため、債務額は減少する。ところが、円安になるや、ドル建て債務を返済するコストが上昇し始める。そのうえ、円安になるにつれ、こういった国々の輸出品価格が上がり、日本の投資家を引きつけなくなっていた。タイのバーツを皮切りに、アジア各国の通貨が下落し始める。過去の歴史どおりなら、危機はアジア各国に広がり、やがて中国にも大混乱を引き起こしたはずだ。ところが、中国は、これまで私が見たこともなかった機敏さと世界認識を示した。危機の悪影響を避けるためには、自国だけにとらわれず、グローバルな視野を持たなくてはならないと考えているかのようだった。問題の根源は、ドルと円の関係にあったため、中国当局はホワイトハウスに介入を求める。抵抗するなら、人民元を切り下げると脅しさえした。そうなれば、危機はさらに悪化していただろう。円を支えれば、強いドルを国益とする規定路線に反することになるが、それでもクリントン大統領とロバート・ルービン財務長官は耳を傾け、円を買い始めた。円買いは功を奏