次なる経済大国 page 5/10

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23 第　1 章　ＢＲＩＣｓの誕生と、即座に分析する。ドイツ連邦銀行が金利を引き上げたとしたら、それはドルとドイツマルクの交換レートにどう影響するのか。トレーダーはこのニュースをどう活用できるのか。大学で....

23 第　1 章　ＢＲＩＣｓの誕生と、即座に分析する。ドイツ連邦銀行が金利を引き上げたとしたら、それはドルとドイツマルクの交換レートにどう影響するのか。トレーダーはこのニュースをどう活用できるのか。大学で学んだことを目の前の動きに適用しなくてはならなかった。外国為替市場の規模や流動性を間近に見ていると、世界最大の青果市場さながらに思われた。誰もがすべてを常時把握している。商品の品質についても適正価格についても、秘密はどこにもない。ユーロとドルの取引は、日曜の夜８時から金曜の夜10時まで。こんな市場はどこにもない。儲けたいなら、機敏に行動し、ときには正反対の意見をも取り入れざるを得ない。他の投資家の動きが早すぎないか、遅すぎないかと自問しなくてはならない。漫然と受け入れられているコンセンサスには、絶えず用心しなくてはならない。市場はあまりに大きくて流動的で、膨大な情報があふれているのだから、窮地に追い込まれるのは簡単だ。この市場で、どんなときも賢く立ち回ろうとするのは並大抵ではない。だからこそ、非凡な人間を引きつけるのだろう。彼らは一か八かに賭け、大きなリスクを取る用意がある。外国為替市場では、彼らだけが強力な集団思考に逆らうことができる（この点について、時計の針を少し進めよう。ギリシャをめぐる欧州危機が勃発したばかりの２０１０年春、投資部門の幹部との会議で進行役を務めていた私は、次の質問を投げかけた。「年末には、ユーロがドルよりも高くなると考える人は？」２人が手を挙げた。「安くなると考える人は？」残りの全員が手を挙げた。ご承知のように、年末には、ユーロ高がかなり進んだ。私がエコノミストとして世界を理解しようとする場合には、こういった経験が大きく影響している）。１９８８年には、スイス・バンク・コーポレーションに移り、債券市場や株式市場の仕事を