つながりすぎた世界

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20 父は私が汽車好きであることを喜び、こんなことを教えてくれた。シカゴには一日に数百本もの列車が乗り入れるが、街そのものを突っ切っている列車は一本もない。シカゴを迂回することはできないため、どこへ行く....

20 父は私が汽車好きであることを喜び、こんなことを教えてくれた。シカゴには一日に数百本もの列車が乗り入れるが、街そのものを突っ切っている列車は一本もない。シカゴを迂回することはできないため、どこへ行くにもシカゴで別の線に乗り換えなければならない。だからシカゴはとても重要な地点なのだ、と。 一九世紀初頭、シカゴはすでに交通の要衝として栄えていた。鉄道が敷設される以前から、運河、川、湖、そして砂利道がこの街と周囲の集落とを、ひいてはアメリカのあらゆる町や世界中とを結んでいた。一八四〇年代には「大西部の最重要拠点」と称えられ、西へ向かうあらゆる道がシカゴに収斂していた。だがそれから半世紀がたち、鉄道が敷かれると、こうした非効率な交通網は一新された。汽車がビジネスを変容させ、アメリカ中西部の自然環境を一変させたのである。スイフトの冷蔵貨車 一九世紀のシカゴに、精肉業者のグスタフ・スイフトという人物がいた。冷蔵貨車を発明したことで有名だ。当時の精肉業というのは驚くほど非効率なビジネスだった。まず、牧場で育てられた牛はカウボーイに追いたてられながらカンザス州ダッジシティなどの終着駅へ運ばれる。そこで貨車に乗せられ、中西部や東部へと出荷されていくのだが、輸送中に牛の肉は削げ落ちてしまうし、病気にかかったり死んでしまったりする牛も少なくなかった。おまけに牛を解体して出