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解 説
この一冊で、ドラッカーのすべてがわかる!
ピーター・ドラッカーの影響力は、今や全世界に及んでいる。29冊にのぼる著作は合計で500万部以上売れ、ほぼすべての主要原語に翻訳されている。マネジメントや企業組織、事業戦略、従業員のやる気を引き出す手法などを語るその斬新な視点は、企業のみならず国家さえも動かしてきた。たとえば日本が、第二次大戦後に奇跡的な復興を遂げる上でドラッカーの教えを活用したことはよく知られている。
ドラッカーは、将来の社会や経済のトレンドを的確に予測することでも知られている。「民営化」「知識労働者」「目標管理」など、今日のマネジメント思想はドラッカーが創り出した概念と用語で埋め尽くされていると言っても過言ではない。「ポストモダン」や「断絶」といった目まぐるしく変化する現代を理解するための原理も、他ならぬドラッカーが最初に提示したものだ。
こうした思想や著作は、経営コンサルタントとしての業績に裏打ちされている。フォーチュン500社に名を連ねる大企業だけでなく、美術館や慈善団体、教会、病院、小企業、大学、政府、大リーグ球団などのマネジメントが抱える諸問題に、ドラッカーはもう50年間も取り組んできた。
本書は、そんなピーター・ドラッカーを追った初めての伝記であり、二〇世紀最大の知性の一人(英エコノミスト誌の表現を借りれば「マネジメント理論が産んだ最も偉大な思想家」)の業績をまとめたポートレートである。ドラッカー本人から最大限の協力を得ながら60年以上に渡るその文筆活動をカバーし、反ファシズムの主張を前面に出した処女作から最新作に至るまで概観している。
ゼネラル・モーターズ(GM)の経営を研究した『会社という概念』は、伝説の経営者、アルフレッド・P・スローン元GM会長になぜ嫌われたのか。マネジメントとマネジメント理論はどのようにして「発明」されたのか。「企業社会を創った」張本人であるにもかかわらず、資本家の行き過ぎを時に痛烈に批判するのはなぜか。こうした疑問を、本書はドラッカーの肩にとまった小鳥のような視線から解き明かしていく。 |