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訳者まえがき
第1章 感情の脳科学とスピノザ
「感情」を科学する時代へ
スピノザが予示していた感情の科学
“三人”のスピノザ
スピノザを求めて
一個の脳は空よりも広大だ
第2章 欲求と情動について
情動は身体という劇場で演じられる
感情の前に情動がある
ホメオスタシスと入れ子の原理
人間にとって役割を終えた情動もある
単純な有機体が示す情動反応
「狭義の情動」とは何か
人間は情動を抑制することができる
狭義の情動を定義する
生活経験と脳の情動装置
情動を誘発するための鍵と錠前
情動を実行する視床下部、前脳基底、脳幹……
電流刺激が引き起こす悲しみ
脳幹というスイッチ
動機のない「笑い」
卒中による意図せぬ「笑い」と「泣き」
能動的身体から心へ
第3章 感情のメカニズムと意義
感情の内容はなにか
感情には身体状態の知覚以上のものがある
感情はインタラクティブな知覚である
記憶を欲望と結びつける
「情動状態のあとに感情が表れる」証拠
「苦や快」と「触感」の仕組みは違う
男の性欲が視床下部を活発にする
体性知覚領域は感情のプロセスに関わっている
脳マップがあったから感情が可能になった
感情は身体マップから生じる
「偽の」身体状態をつくる
脳が身体状態をごまかすのはなぜか
感情を生みだす化学物質
薬物がさまざまな至福を誘発する
感情の形成に関わるマッピングの詳細
感情は命の状態の複合的表象にもとづいている
第4章 感情の存在理由
喜びと悲しみが身体を最適な状態へ導く
社会的行動における感情の役割
脳損傷と意志決定のメカニズム
情動信号の再生で何がなされるのか
正常な意志決定メカニズムが崩壊するとき
幼少期の前頭葉損傷による社会生活への不適応
もし人間に情動と感情がなかったなら……
神経生物学と倫理的行動の関連
ホメオスタシス機構が社会生活を管理する
スピノザの思想にみる現代神経生物学
感情はなぜあるのか
第5章 心を形成するもの
「ホイヘンス・レクチャー」での講演
身体は心の形成にどう関係しているか
身体マップを失い、心も失う
「肉体からのイメージ」と「感覚装置からのイメージ」
解けないイメージ形成プロセスの最終段階
イメージは対象の複製品ではない
ものを見るということ
心は身体のために存在する
「心は身体の観念からなる」とスピノザは言った
神はバラバラになった身体の一つひとつにいる
第 6章 スピノザ思想の源
スピノザは社会的異常者だったのか
スピノザは「尋問」の時代に生まれた
ハーグで暮らしたスピノザの晩年
哲学者としてのスピノザ二一年の人生はじまる
スピノザの尋問は家庭ではじまった
スピノザに衝撃を与えたウリエル・ダ・コスタ事件
民族の藤を創造性に変えたオランダ
ユダヤ人コミュニティとの関係を断たれる
名は消され思想は広められる
フロイトからアインシュタインまで
一六七七年、ハーグで死す
スピノザが晩年必要とした本のすべて
自らの思想に人生を適合させていった
第7章 自己保存としての感情
意識と記憶は人間的喜びの源である
人はネガティブな情動をポジティブに換えられる
理性は道を示し、感情は決断をもたらす
快活な人間は心の闇にも目を向けない
人生の幸福な終焉に向うために
情動と感情は生きることに深く関係する
原著者註
付録1 スピノザの時代とその前後
付録2 脳の構造
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