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 EMS戦略

 企業価値を高める製造アウトソーシング


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表紙




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はじめに

第1章 メーカーが製造をアウトソーシングし始めた

1.グローバルスタンダード経営のインパクト
 ●株主価値を高めなくてはならないという圧力
 ●インターネットとニューエコノミー
 ●サプライチェーンからバーチャル・サプライチェーンへ

2.こうして製造アウトソーシングが始まった
 ●ある技術的難問
 ●自社工場よりEMSとのほうがやりやすい!?
 ●全社で戦略的アウトソーシングに取り組む
 ●全員がメリットを享受したアウトソーシング

3.製造アウトソーシングで躍進するアメリカ企業
 ●日米逆転を招いた構造変革の差
 ●超バーチャル企業の出現
 ●シスコの生産パラダイム
 ●日本に進出し始めたEMS


第2章 タテからヨコへの産業革命

1.二つの産業構造モデル
 ●フォードとコダック
 ●20世紀は垂直統合モデルの時代
 ●新しい水平分業モデルの出現
 ●解消に向かう水平分業のデメリット
 ●あらゆる業界が水平分業化モデルへシフト
 ●スピードが競争力の源泉に
 ●株主価値最大化への圧力
 ●IT革命と標準化の進展
 ●eコラボレーションの新しい世界
 ●ジェイビルの工場はシスコの「仮想自社工場」
 ●モジュラー型製品アーキテクチャの増大
 ●コンピュータ業界の変革


第3章 これからの製造の主役EMS

1.急成長する製造アウトソーシング
 ●工場売却のツナミ
 ●EMSの市場と売上はどこまで増大するか
 ●EMS発展の歴史
 ●移り変わるEMSの製品分野
 ●パソコンからインターネットへ
 ●通信機器のアウトソーシング

2.これからEMSはどこに向かうか
 ●メガEMSの出現とニッチEMSの健闘
 ●サプライチェーンの上流へ
 ●ODMとEMSの統合の動きも


第4章 メーカーがEMSに勝てない理由

1.EMS企業を使うメリット
 ●コスト低減
 ●財務体質の改善
 ●タイム・トゥー・マーケットの短縮
 ●グローバル製造体制のサポート
 ●サプライチェーンの総合コーディネート
 ●バーチャル企業構築のトータル・サポート

2.EMS企業の競争力の源泉
 ●起業家精神に満ちた製造関係者が主役
 ●少ない管理階層、早い意思決定、業績比例の報酬
 ●ベストプラクティスを学ぶ姿勢
 ●間接費用の極小化と標準化の徹底
 ●顧客分散によるリスクの低減
 ●情報システムとネットワークの徹底活用
 ●サプライチェーン管理機能
 ●最先端生産技術への投資
 ●グローバルな生産能力
 ●プログラム・マネジャー方式
 ●経営管理指標に徹底フォーカス

3.EMS企業のベストプラクティス
 ●2週間でSMT設備を新規導入
 ●1週間で製造拠点を他国に移転
 ●オーダーキャンセルの影響が瞬時に分かる
 ●わずか3か月でERP導入完了
 ●リレー方式で設計期間を半減


第5章 EMSの動向と有力企業プロフィール

1.EMS産業の最近の動向
 ●メガEMS企業の目覚ましい成長
 ●主要EMS企業の業績分析

2.世界に広がるEMSの製造拠点
 ●北米——全米への展開とメキシコ進出
 ●アジア——中国への進出ラッシュ
 ●ヨーロッパ——東欧への進出ラッシュ

3.主要EMS企業のプロフィール
 ㈰ソレクトロン
 ●コウ・ニシムラ会長の素顔
 ●シリコンバレーで誕生
 ●マルコム・ボールドリッジ賞を2度受賞
 ●積極的な工場買収で急成長
 ●SCIを抜いて業界第1位の売上に
 ㈪SCIシステムズ
 ●宇宙船株式会社
 ●IBMパソコンや端末で急成長
 ●トップダウンと規律のカルチャー
 ㈫セレスチカ
 ●IBMからMBOでスピンアウト
 ●ハイエンド領域に特化する戦略
 ●積極的な工場買収で急成長
 ㈬フレクストロニクス
 ●東南アジアのルーツ
 ●ユニークな「工業団地方式」
 ●ヒット商品を受注
 ●業界をあっといわせた二つのメガディール
 ㈭ジェイビル・サーキット
 ●ジェイムズとビルでジェイビル
 ●長髪を切って大企業への成長のきっかけをつかむ
 ●ユニークなビジネスユニットとワークセル方式
 ●少数の優良顧客に集中
 ㈮ナットスティール・エレクトロニクス
 ●ナットスティールのお荷物
 ●SCIシンガポール経営陣を引き抜く
 ●アップルに賭けてメガEMSへの切符を手に入れる
 ●少数の優良顧客に集中
 ●北米拠点を急拡大
 ●ソレクトロンによる買収話の行方は?


第6章 戦略的製造アウトソーシングの実際

1.アウトソーシング・プロジェクトチームを編成する
 ●社内外の専門家を集める
 ●不可欠な経営トップのサポート

2.アウトソーシングの戦略目標を設定する
 ●戦略目標の設定
 ●製品特性からアウトソーシングするかどうかを判断
 ●コアコンピタンスはアウトソーシングしない
 ●工場売却に関する決定

3.コストおよびパフォーマンスの指標分析
 ●コスト・シミュレーション
 ●各種パフォーマンス指標

4.アウトソーシング・プロバイダ(EMS企業)を選ぶ
 ●第一次選考——候補企業のリストアップと絞り込み
 ●提案要求書の作成
 ●訪問調査
 ●最終選定

5.アウトソーシング契約の交渉と締結
 ●契約と信頼関係の重要性
 ●契約に含むべき事項
 ●リスクとリターンをどう配分するか

6.アウトソーシング体制の整備と管理
 ●全社的なアウトソーシング管理体制を整える
 ●コスト管理
 ●パフォーマンス指標管理
 ●EMSの工場監査
 ●EMSによる逆評価
 ●定期レビュー会議

7.EMS企業への工場売却のポイント——ステップ2の補足
 ●工場売却と製造アウトソーシングは車の両輪
 ●ウィン・ウィンの工場売却
 ●人事処遇は大きな問題
 ●売却条件とアウトソーシング契約のリンク
 ●工場売却金額はどう決まるか
 ●工場売却ではタイミングが重要
 ●工場売却のプロセス


第7章 日本にEMSが生まれる日

1.日本の製造アウトソーシングの状況
 ●本格化するメガEMS企業の日本進出
 ●いよいよ始まった工場売却
 ●アメリカ型EMS出現の兆しなし

2. 日本でグローバルEMS企業が生まれない理由
 ●「製造がコアコンペタンシー」との思い
 ●垂直統合モデルへの固執
 ●インフォーマルなコミュニケーションが障害に
 ●製品設計までは担当しない日本型EMS
 ●部品調達は親会社頼み
 ●下請けから対等なパートナーへと発展する例は稀

3. 和製EMS出現の可能性
 ●メーカーの工場のスピンアウト
 ●既存の日本型EMS企業がメガEMSに成長
 ●起業家と大企業型プロフェッショナルの組み合わせ
 ●日本の強みで健闘できるニッチEMS企業
 ●軽薄短小製品分野のEMS
 ●リーン生産方式によるカスタムラインEMS

あとがき

日本における主要EMSの連絡先
EMSに関する情報源



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梗概

メーカーから製品の設計、資材調達、生産、物流までをトータルに請け負うEMS(Electronics Manufacturing Service 電子機器製造受託)という革命的ビジネス・モデルがアメリカで拡大し、強い経済の製造面を支えている製。モノを作らないメーカーとしてはデルやシスコが有名だが、大企業からベンチャー企業まで製品を自分で作らないメーカーが欧米では増えている。

メーカーにとって、株主価値最大家の圧力と技術革新のスピードの中で生き残るためにはEMS活用が不可欠であることはもはや常識で、巨大エレクトロニクス・メーカーに匹敵する規模のEMSも登場している。EMSは今後、製品分野においても、カバーするサプライチェーンの範囲においても、ますます拡大していくと見られている。

自前のモノ作りにこだわる日本では、EMSの本格的展開は2、3年先と思われていたが、この1年ほどで欧米EMS企業の日本進出が目立ち始めた。今年10月にはソニーが中新田工場(宮城県)を米EMS最大手のソレクトロンに売却すると発表し、世界の関心を集めた。

本書は、製造業全体を一新するであろうEMS、SCMの仕上げとしてのEMSの動向を紹介するとともに、製造アウトソーシングの推進方法を論じる。



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著者紹介

稲垣 公夫(イナガキ キミオ)
稲垣公夫(いながききみお)

NECアメリカ企画部バイスプレジデント。1951年生まれ。東京大学工学部精密工学科卒業後、NECに入社。生産自動化開発本部、生産システム本部、本社製造管理部勤務の後、NECアメリカに出向。97年より現職。同社の本社移転、オレゴン工場のEMS企業への売却等の事業構造改革に従事。NECアメリカ本社のあるテキサス州ダラス近郊に在住。
著書に『アメリカ生産革命』『TOC革命』『TOCクリティカルチェーン革命』(いずれも日本能率協会)、訳書にジェームス・ウォーマックほか著『ムダなし企業への挑戦』(日経BP社)がある。



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