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梗概
経営者だけが潤うアメリカ流の経営はおかしい!
企業の存続を根本から揺るがす革命が起きつつある。しかも、それは技術的ブレイクスルーともeコマースとも関係がない。それは過去20年間にわたって顧客、従業員、サプライヤー、政府、取締役会、そして株主にさえ影響してきたビジネス哲学——株主価値の運動が、然るべき結果にいたっているということである。
この運動は、どんな経緯でビジネス戦略を席巻したのか? また、ビジネスの未来にどんな意味をもたらすのか? 潮目は変わり、逆流が押し寄せるのか? 本書において、アラン・ケネディは現代企業の歴史——古くは1837年のウィリアム・プロクターとジェームス・ギャンブルによる石鹸・ろうそく工場の設立から、最近では1980年代、90年代に吹き荒れた巨大合弁ブームまで——をひもときながら、こうした問いに答える。
過小評価される企業を分析し、再建し、利益を生み出すための学説が、70年代に企業の乗っ取り屋たちに見いだされた。こうした脅威は、無数の経営者やエグゼクティブらに自社のリストラクチャリングを進めさせた。業務の簡素化、コスト削減、間接業務のアウトソーシング。しかし、その過程で何かが失われた。手段は極端になり、株主のために短期的利益を最大化するために企業は将来を担保にし始めた。
ケネディは説得力豊かに、企業が株主価値倫理に染まり、このままではいずれ破綻する運命であることを明らかにする。またマスコミで賞揚されることも多いゼネラル・エレクトリック、シスコ・システムズ他無数の新興企業に常識を適用する。それらは株価の過大評価を受け、長期的な繁栄の基礎となる資源や能力に対する十分な投資を欠いている。
そして賢い利害関係者が、未来を顧みようとせず、R&D投資、サプライヤーや流通関係者との関係、政府との協調、貴重な人材の育成などに配慮しない企業に反発を強めている様子も描き出している。
最後に本書は、経営者、投資家、取締役に厳しい質問を突きつける。それは「事業の目的とは何か?」である。そして、経営の現在と未来のバランスを取るための実務的な方法を提案する。
本書に寄せられた反響!
「従業員、消費者、サプライヤーなどの利害関係者が企業の長期的成功に果たす役割を、多くの経営者が見過ごしている。ケネディはこのバランスの崩れを具体的に指摘し、手遅れにならないうちに近視眼的経営を修正する方法を説く。経営者やビジネスマンとって、まさにタイムリーな書である」…………テレンス・E・ディール(『シンボリック・マネジャー』共著者、南カリフォルニア大学教授)
「アラン・ケネディは21世紀を迎えるビジネス界の指導者に、ふたつの素晴らしい贈り物をしている。一つは過去一世紀の様々な時代に興された企業ダイナミクスについての明晰かつ広範な分析、そしてもう一つは今日もっとも重宝されている事柄にいくつかの疑問を突きつけたことだ。これらは問われるべき疑問である。歴史がそれらに回答を求めることは間違いない。早めに考えておく必要がある」…………ロバート・A・G・モンクス(エルメス共同副会長、レンズ・マネジメント・ファンド)
「株主価値の美名のもとに、短期収益を揚げ四半期目標を達成してツケをその他の関係者に押しつけるとは、どういうことか? この根本的な疑問を投げかける力強い一冊だ。ケネディは明確な証拠を上げて価値、主導権、投資、報酬システムなどがその他の関係者に向かいつつあることを証明する。そして、こうした利害関係者による反動を警告するのである。これはまさに来る10年の企業統治の課題である。取締役を、企業の長期的目標に向かわせなければならない」…………マーク・ゴイダー(センター・フォー・トゥモローズ・カンパニー代表)
「企業は社会的価値と株主価値を二つとも追求する。ケネディは新旧の経済体制から豊富な例証を引きながら、経済偏重主義を指摘し、事態の回復を提唱する。企業永続の鍵を握る一冊だ」………クリス・メイヤー(アーンスト&ヤング・センター・フォー・ビジネス・イノベーション)
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