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第1部 ファイナンス理論の基礎
第1章 ビジネスマンはどこまで知る必要があるか
1-1 ファイナンス理論は専門家だけのものではない
ビジネスマンが知るべきこと/ファイナンス理論の応用範囲は広い/最大の課題はリスクの評価
1-2 企業経営の基本は企業価値の最大化
企業経営の基本課題/企業価値はビジネスモデルで決まる
1-3 企業はリスクに挑戦すべきだ
投資家の基本課題は分散投資/企業が分散投資しても無意味/専門化するとリスクは高まるが収益は増加する
1-4 新しい金融手段でリスクを管理する
リスク管理のための金融取引/なぜヨーロッパが近代を拓けたのか/金融技術で立ち後れた日本
1-5 ファイナンス理論はいかなる意味で有用か
ファイナンス理論で金持ちになれるか/ファイナンス理論は「悪魔の技術」か/ファイナンス研究者のスティグマ/何のためにファイナンス理論を学ぶのか/打ち出の小槌はない
【第1章のまとめ】
第2章 分散投資でリスクを回避する
2-1 分散投資の原理
ヴェニスの商人の分散投資/なぜ分散投資が機能するか
2-2 保険の原理
分散投資には限度がある/保険を利用すればリスクを回避できる/保険会社は分散投資している
2-3 分散投資で回避できるリスクとできないリスク
個別リスクと市場リスク/国際分散投資
【第2章のまとめ】
第3章 「先物」や「オプション」でリスクを回避する
3-1 先物取引とは
将来の取引価格をいま約束する/先物関連の用語/為替のカバーとヘッジ
3-2 先物価格と現物価格の関係
先物価格は現物価格より利子分だけ高い/外国為替市場における金利平価条件
3-3 先物価格は現物価格の予想値か
先物価格は現物価格の期待値より低い/バックワーデーションとコンタンゴ/イールド・カーブが右上がりになる理由
3-4 オプションでリスクを回避する
対価を払えば「虫のいい要求」も可能/オプション関連の用語/実際に取引されるオプション/ヘッジが基本的機能
【第3章のまとめ】
第4章 価格付け理論のエッセンス
4-1 リスク資産の価格付けと「リスク・プレミアム」
資産市場のモデル化/確率的割引ファクター/確率的割引ファクターを用いる価格付け/リスクを反映した割引率とリスク・プレミアム/プット・オプションは保険的機能を持つ
4-2 価格が計算できる条件
完備市場と不完備市場/ブラック=ショールズ式/絶対的価格付け
4-3 平均・分散フロンティアとベータ価格式
ポートフォリオと最小分散フロンティア/市場ポートフォリオ/リスクの市場価値/ベータ価格式/正しい価格の場合にベータ価格式が成立する
【第4章のまとめ】
第5章 市場を出し抜けるか
5-1「効率的市場」という考え
アブノーマル・リターンを得られるか/三つの効率性概念/株式市場や為替市場は効率的
5-2 株価の動きはランダム・ウォーク
ランダム・ウォークとは/ランダム・ウォーク・モデルからわかること/もう少し現実的なランダム・ウォーク/ケイ線で株価が予測できるか/ファンダメンタル説とランダム・ウォークは矛盾しない/誰もが信じれば非効率になるか
5-3 公開された情報やプロの分析情報はどうか
公開された情報はすばやく伝播する/プロの分析に価値があるとはいえない/インデックス・ファンド
5-4 インサイダー情報は価値がある
極秘情報/ロスチャイルド家の伝説
【第5章のまとめ】
第2部 ファイナンス理論の応用
第6章 信用リスク——不良債権をどう評価するか
6-1 リスクのある貸付債権
貸付債権にもリスクがある/期待値を利子率で割り引くと過大評価になる/奇妙な議論が横行している/クレジット・デリバティブの発展
6-2 信用リスクを評価するモデル
オプション価格理論による信用リスクの評価/負債の市場価値/株式は会社資産に対するオプション/会社資産の変動
6-3 リスク・プレミアムの計算結果
負債比率が高い企業のリスク・プレミアムは高い
6-4 現実の企業への適用
実際の企業の負債比率/倒産確率と資産のボラティリティ/リスク・プレミアムの「おおまかな見当」
【第6章のまとめ】
第7章 デフレ連動ローン——デフレ脱却でなく共存を
7-1 デフレはいかなる意味で問題か?
デフレが経済停滞の原因か?/デフレが引き起こす唯一の問題
7-2 デフレ連動ローンのメカニズム
デフレとの共存/デフレ連動ローンでは実質価値は不変/名目負債のメカニズム
7-3 金融革新でデフレに対処する
デフレ連動ローンの仕組み/インフレ連動債を生んだ金融革新
7-4 インフレ・ターゲット論の理論的な誤り
フィッシャー方程式/フィッシャー方程式の実現をはばむもの
【第7章のまとめ】
第8章 ファイナンス理論の悪用——エンロンは何をしたのか
8-1 エンロンの破綻
エンロン破綻がもたらしたもの/ファイナンス理論を知らなかった経営者/エンロンと私の接近遭遇/エンロン破綻における真の問題
8-2 証券化による不良資産の「飛ばし」
子会社による証券化/ルールのかいくぐり
8-3 時価評価による利益操作
デリバティブの時価評価/実態のない利益の増大
8-4 日本でも起こりうる問題
アメリカ型資本主義が問題なのか?/金融工学自体が問題なのか?
【第8章のまとめ】
第3部 アルファベット略語で説くファイナンス理論
第9章 新しい金融商品
9-1 アルファベット略語にだまされないために
アルファベット略語のわかりにくさ/アルファベット略語を振り回す人々/ごまかしが横行しては大変
9-2 なぜ新しい金融資産が登場するか?
新しい金融商品の基本機能/損をしないために押さえるべき基礎
9-3 資産を「証券化」する
キャッシュフローを生むあらゆる資産が証券化の対象になる/不動産抵当権付きローンの証券化/社債や貸付債権の証券化/証券化を行なう特定目的会社
9-4 新しいタイプの投資信託
分散投資でリスクを減少させる/TOPIXや日経平均を買うETF/不動産のファンドであるREIT/公社債を中心としたファンド
9-5 オプションを組み込んだ金融資産など
利払いや償還額が変動する金融商品/リスクの高い仕組み債/その他の金融資産
【第9章のまとめ】
第10章 資産や企業の評価
10-1 投資プロジェクトや資産の評価
割引現在値が評価の基本/収益率でも表わせる/問題は適切な割引率の選択/リスクの評価/IRRは正しくないことがある
10-2 企業の収益を示す指標
EBITDA、NOPATなど/利益とキャッシュフロー/経済的付加価値に着目した指標/ストック変数を用いた指標/株式価値の増大
10-3 株式市場で使われる指標
収益指標は適切か?/負債比率を高めれば配当利回りは上昇する/ROEはリスク無視の指標/クイズ
【第10章のまとめ】
第11章 市場取引・制度・分析手法
11-1 M&Aと企業再生
企業価値評価の重要性/M&Aの具体的な方法/経営不振企業再生の手立て
11-2 市場関連用語
さまざまな市場指標/アメリカでは株でなく預託証券が流通/資金ニーズ次第で多様な取引法
11-3 関連機関を示す用語
証券や商品の取引所/監督規制機関
11-4 執行役員制度に関する用語
執行役員と取締役の機能分離
11-5 リスクの評価方法やモデル
理論的に正しい評価モデル/実務的な評価モデル/時系列モデル
【第11章のまとめ】
あとがき
参考文献
索 引
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