目次


少子化克服への最終処方箋

政府・企業・地域・個人の連携による解決策


[目次] [著者紹介]


表紙




 ↑ページトップへ


まえがき


第1章 少子化は克服できる《総論》

1 一・二六ショック

 労働力不足の問題
 年金、財政問題
 貯蓄率低下の問題
 地方の疲弊と空洞化の問題
 国際競争力低下の問題
 経済成長の停滞と人々の危機感

2 政府は何をしてきたか

 エンゼルプラン
 新エンゼルプラン
 仕事と子育て両立調査会「仕事と子育ての両立支援策について」
 少子化対策プラスワン
 少子化社会対策基本法と子ども・子育て応援プラン
 第三次小泉内閣の特別対応
 少子化社会対策推進専門委員会報告「これからの少子化対策について」
 少子化社会対策会議「新しい少子化対策について」

3 従来の少子化対策の失敗

 出生率回復への政策転換は二〇年遅れ

4 各国の少子化対策に学ぶ

 欧米諸国の経験
 アジア諸国の経験
 諸外国における女性の社会進出と出生率

5 少子化対策の基本的視点——産みたい、育てたい人を支援

6 出会いと出産の支援

 出会いの場と機会
 しがらみを克服する工夫
 出産を楽にする工夫

7 保育サービスの充実

 民間の保育サービスの自由化
 多様なサービスの選択肢
 バウチャー制のすすめ
 企業のネットワーク型子育て支援サービス
 子育てタクシー

8 仕事と家庭生活の両立——ワーク・ライフ・バランス

 企業社会に家庭生活尊重の気風を
 中小企業に学ぶ

9 地域の子育て支援機能の再構築・強化

 魔の八時間
 「生活塾」のすすめ

10 子育て家庭に効果的な生活支援を

 高齢者重視施策からの転換を
 子育て世帯の経済的格差
 子育ての時間を確保するために
 これからは個人の心がけが重要に


第2章 何が急速な少子化をもたらしたのか

1 出産以前の問題

 結婚年齢の上昇と非婚の増加
 出会いの機会の減少としがらみを嫌う傾向
 若い女性ほど子どもを産まなくなっている
 「理想子ども数」はほぼ横這い
 中絶大国、日本

2 出産以後の問題

 劣悪な社会経済環境
 環境が改善されても仕事と育児の両立が進まない


第3章 海外に学ぶ少子化克服の方策

1 欧米と日本の家族政策の比較

 福祉国家観別に見た四つの分類
 性別役割分業に対する意識と出生率の関係
 今まさに分岐点に立つ日本
 子ども・家族関連支出と出生率の関係
 「育児の社会化」の遅れ

2 欧米各国の具体的な家族政策

 フランス(1)——企業への税制優遇
 フランス(2)——手厚い経済的支援策は日本の四倍以上の規模
 フランス(3)——子どもが三人以上いる家族への割引カード支給
 スウェーデン——男女平等の取り扱いを重視
 英米——公的なサービスの代わりに民間サービスが充実
 イギリス——政策で従業員の柔軟な就労形態を後押し
 ドイツ——子育てをめぐる諸政策の一貫性がないため効果が上がらず

3 アジアNIES諸国の少子化対策

 これからはアジア型の対策を参考に
 少子化を促進した要因
 各国の具体的な少子化対策
 シンガポールにおける低出生対策の効果
 香港の出生維持政策では出生率は下げ止まらない
 祖父母によるサポート体制へのインセンティブ
 「出生促進」の方針を明確にすべき


第4章 先進企業のワーク・ライフ・バランス戦略

1 日本の両立先進企業から学ぶ

 先進企業が両立支援を導入したさまざまな経緯
 両立支援に取り組んだことで業績が拡大
 三段階に分けられる両立支援への取り組み
 両立支援の短期的効果——優秀な人材の確保・引き留め
 両立支援の中期的効果——企業イメージ、従業員の質の向上
 両立支援の長期的効果——企業文化の変容、組織・業務体制の見直し

2 海外の両立先進企業から学ぶ

 英米型と欧州大陸型のワーク・ライフ・バランス
 日本の先進企業の取り組みは英米型
 子育てのしやすさで対照的な日本とスウェーデン
 両立支援はハイリターンの投資という企業の認識
 キャリアロスが少ない欧米企業
 経営戦略上の観点から取り組むアメリカ企業
 民間の表彰制度でのランキングを競い合うイギリス企業
 ポイントは従業員の声を反映させること

3 中小企業から学ぶ

 「中小企業の職場環境は遅れている」は本当か?
 「仕事と育児の両立」に適した中小企業
 中小企業で仕事と育児を両立しやすい要因
 中小企業の柔軟な発想
 中小企業モデルの新しい少子化対策が必要

4 仕事と家庭生活が両立しやすい職場環境をつくる

 社内横断型プロジェクトチームが有効
 いかに男性を巻き込むかがポイント
 抵抗勢力とは正面から対決しない
 同業他社との連携による両立支援
 制度悪用に対しては社員相互の「自浄機能」に期待
 抵抗勢力はあぶり出す
 「家事機能の外部化」を進める
 業務を抱え込まずオープンにする
 「多能工化」と「作業のマニュアル化」による職場づくり
 ホワイトカラー業務、知的生産業務の標準化
 業務の「誰でもできる化」


第5章 全員参加型の最終処方箋

1 政府が果たすべき役割の強化

 出生率回復の目標設定
 適正人口の議論は不可欠
 「子育て基金」の創設
 経済的支援の拡充は「保育バウチャー」と「在宅育児手当」で
 税制優遇措置よりも「保育バウチャー」が有効
 経済的負担を軽減するさまざまな方策
 不妊治療の助成拡大も必要
 負担軽減のために祖父母の資産を活用する
 少子化対策財源としての「死亡時精算資産課税制度」の導入
 次世代育成実績に応じた「第三の年金」
 チャリティ目的の「子ども宝くじ」
 未成年の子どもの選挙権を親に付与する

2 企業が果たすべき役割の強化

 認定マーク取得の条件は改善の余地が大きい
 両立先進企業ほど社内のノウハウ開示はオープン
 両立支援データベースの重要性
 両立推進のためのマニュアル作り
 企業向け研修の質を向上すべき
 子育て応援宣言企業を支援する
 両立支援のベンチマークと表彰制度
 企業の両立支援取り組みにインセンティブを
 企業の育児関連サービスバウチャーへの税制優遇も
 所得ロス、キャリアロスをなくす
 男性育児休業取得実績にこだわらない評価軸を
 お風呂早帰り制度の導入を
 有給休暇の取得率を上げる
 企業と地域の連携
 企業内保育所に対する助成拡充を
 「人材バンク」を地域単位でつくっていく
 労働組合にも発想の転換が必要
 高学歴女性に再チャレンジ策を
 非正規社員への紹介状制度
 企業間フリーエージェント制度

3 個人および地域が果たすべき役割の強化

 結婚するつもりはないが子どもは欲しい人たち
 婚外子への温かい視線
 保育専用車両を
 子ども事故事例のデータベース化
 保育備品にも規制緩和を
 学童保育への助成拡充を
 「生活塾」の提案
 ますます重要になる地域社会での大人の役割
 地域の子どもとの「ななめの関係」づくり
 「子ども会」を通して教わったこと
 K君の変貌
 子どもは社会を映す鏡



 ↑ページトップへ



著者

島田晴雄(しまだ・はるお)
1943年生まれ。65年慶應義塾大学経済学部卒業、70年同大学大学院博士課程修了、74年米国ウィスコンシン大学にて博士号取得。現在は慶應義塾大学経済学部教授、富士通総研経済研究所理事長。経済企画庁経済研究所客員主任研究官、フランスESSEC(経済経営グランゼコール)交換教授、米国MIT訪問教授等を歴任。2001年9月より5年間内閣府特命顧問。専門は労働経済学、経済政策。
『明るい構造改革』『雇用を創る構造改革』(以上、日本経済新聞社)、『痛みの先に何があるのか』(東洋経済新報社)、『日本経済勝利の方程式』(講談社)など著書多数。

渥美由喜(あつみ・なおき)
1968年生まれ。92年東京大学法学部卒業、富士総合研究所を経て、2003年富士通総研に入社。現在は、富士通総研経済研究所主任研究員。専門は社会保障、人口問題、労働雇用。若手ながら国内でも有数の少子化対策の専門家として、内閣府の「少子化社会対策推進会議」委員も務める。著書に『40歳からの年金基礎勉強』『介護保険100%活用術』(小学館)、『徹底予測!日本経済これから10年』(PHP研究所)等がある。


お問い合わせは、webmaster までお願いいたします。
1996 - 2003 DIAMOND, INC. All Rights Reserved.