目次


コトバの戦略的思考

ゲーム理論で読み解く「気になる日本語」


[目次] [著者紹介]


表紙




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よろしくお願いします
言葉の持つ戦略的意義
よろしくお願いする戦略的理由
慣習の戦略的意義
あいまい戦略としての「よろしくお願いします」


第1章 日常コトバ編

お疲れさま

「お疲れさま」の使い方
日本人は疲れているのか
「ご苦労さま」との関係
「お疲れさま」の戦略的効果
疲れの共有

【コラム】「どうも」

とんでもありません

「とんでもありません」はとんでもないのか
なぜ「ない」だけが残ったか
否定で定められる言葉
非効率性
公平とは何か
とんでもないです

横並び

横並びは必ずしも悪くない
横並びの語源
横並びとモラル・ハザード
成果主義に対する誤解
モラル・ハザードと不確実性
セーフティ・ネット
社会契約

格差

格差の意味
格差に潜む意図
本来同等であるべきものとは何か
格差を支える意識の変化
効率性と最適性
市場万能主義の意味
格差論争

遺憾

遺憾の意味
遺憾の戦略的効果
誤解が広まる構造
誤解が定着する構造

OK

なぜOKが広まったか
OKボール
OKボールの戦略的含意
社会慣習におけるOKボール

【コラム】OKゲーム実況編


第2章 マニュアル系コトバ編

「……のほう」——あいまいコトバの氾濫

流行するあいまい表現
対象をぼかす伝統
対象をぼかすことで生まれる戦略効果
日本語のもつ余韻
学習効果の限界
あいまいさが生み出す駆け引き
意図的につくられるあいまいさ
株式市場とあいまい情報
あいまいさが活動を控えさせることも
単純化戦略

【コラム】曖昧

「見れる・食べれる」——ら抜き言葉

「ら抜き言葉」とは
無駄を省く「ら抜き」
効率化プロセスの性質
「ら抜き言葉」の将来

「伺ってもよろしいですか」——広まる許可形表現

許可形の氾濫
許可を求めるのは丁寧なのか
「よろしいでしょうか」の構造分析
相手に選ばせるのが丁寧さ
直接的依頼のほうが好まれるべき状況
許可形がなぜ増えたか

「よろしかったですか」——しっくりこない完了形表現

過去疑問形表現
過去疑問形言葉発生の機械化原因説
過去形が生み出す連帯感
長期的関係で強化されるインセンティブ
インセンティブの微妙な仕組み

「ご説明させていただきます」——奇怪な謙譲使役表現

「させていただきます」の構造
へりくだることで責任放棄
新型謙譲表現に潜む戦略構造
させていただいてよい状況とは

プレミアム——進化するカタカナ言葉

氾濫するカタカナ言葉
差別化:カタカナ言葉を使いたくなる理由
経済学的な差別化戦略
巧妙な差別化戦略


第3章 新型・若者型コトバ編

やばい

「やばい」の新しい意味
まぎらわしい「やばい」の用法
新型やばいの戦略効果
新型やばいの将来

まぎわらしい

まぎわらしい発生のメカニズム
「ふいんき」と「あたらしい」
連想を起点とする推論
連想推論法の欠陥
全体像からの推論を始める利点

【コラム】思ってあげる

不具合

不具合の用法
おおむね順調
セカンド・ベスト
危険な不具合感覚
サブ概念
サブ・プライムの不具合

メタボ

メタボ=肥満となる理由
順序を付けた二者択一基準の問題点
特定健診の奇妙さ
医療とインセンティブ

義理チョコ

義理チョコをめぐる戦略的駆け引き
義理チョコが生み出す費用
情報伝達のための経済コスト
産地偽装と情報コスト
バレンタイン投資効果

空気読め

KYに潜む不自然さ
空の気を読むことができるか
ないモノの意義
戦略的環境での空気
空気の戦略的読み方

【コラム】なぜ大学教員の給与は上がらないのか


第4章 経済コトバ編

一物一価の法則

裁定取引
裁定によって決まる理論価格
経済学者流裁定の使い方
一物一価の限界
見せかけの一物一価
技術の変遷と一物一価
一物一価の法則は崩壊したのか

博奕理論

ギャンブル経済学の基本
ギャンブルの控除率
トトカルチョ

【コラム】投機

効率的市場仮説

効率的市場仮説とは何か
市場評価と真の価値との関係
情報と技量がなぜ市場に反映されるのか
市場による情報選別
金融市場は効率的か

収益還元法

収益還元の原理
資産価値評価と収益還元の原理
家屋の価格相場と収益性
「貯蓄から投資へ」の危うさ

デフレ

善悪の対比効果
なぜデフレの善悪に興味が湧いたのか
デフレの善悪:さらに深い立場
悪いデフレ論争の功罪




あとがき

経済関連用語索引



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著者

梶井厚志(かじい・あつし)
1963年広島県生まれ。86年一橋大学経済学部卒業、91年Harvard大学大学院卒業、Ph.D.(経済学博士号)取得。Pennsylvania大学助教授、筑波大学社会工学系助教授、大阪大学社会経済研究所教授を経て、2003年より京都大学経済研究所教授。専攻は経済理論、情報の経済学、一般均衡理論、ゲーム理論。「不確実性と情報のミクロ経済理論」の業績により、日本学術振興会賞(2007年)、日本経済学会中原賞(2008年)受賞。
著書に『ミクロ経済学:戦略的アプローチ』(松井彰彦との共著、日本評論社、2000年)、『戦略的思考の技術:ゲーム理論を実践する』(中公新書、2002年)、『故事成語でわかる 経済学のキーワード』(中公新書、2006年)などがある。
◆ホームページ:http://www.kier.kyoto-u.ac.jp/~kajii/


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