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はじめに
第1章 「心」と出会った経済学──行動経済学は何を変えたのか?
1 経済学は、「どこで」現実に気がついたのか?
1 「行動経済学」誕生前夜
経済学の潮流(1) ミクロ理論=価格理論
経済学の潮流(2) ケインズ革命=マクロ理論
経済学の潮流(3) 数理系の経済理論
2 「現実」に直面した経済学
3 行動ファイナンスと行動経済学はどう違うのか?
カーネマンとトベルスキーが提唱した「プロスペクト理論」
行動ファイナンスと行動経済学の関係
4 行動経済学から見たバブル
5 分析対象外のアノマリーの影響力
人間の本質──目先の利益に踊らされる
実際に起こったバブルの検証
6 伝統的経済学とその限界(1)──すべて「経済学の教科書」通りの世の中か?
7 伝統的経済学とその限界(2)──「伝統的経済学理論」VS「行動ファイナンス理論」
8 伝統的経済学とその限界(3)──発生しないはずのバブルはなぜ発生するのか?
バブルは特殊なこと、は本当か?
なぜ行動ファイナンスは期待されているのか
9 伝統的経済学とその限界(4)──金融工学は万能か?
なぜ「金融工学」はもてはやされたのか
金融工学の使いどころ、行動ファイナンスの使いどころ
10 「多様性」を受け入れる経済学へ
インセンティブは本当にみな同じか?
多様性こそが、アノマリーの源泉
11 「非合理性」への2つの切り口
「限定合理性」とは何か
「情報格差」から伝統経済学理論に切り込む
2 行動経済学で「何が」できるのか?
1 正規分布と「歪み」をもった分布
2 「行動経済学」の課題とは
今、「何の」役に立っているのか?
行動ファイナンス、3つの課題
3 株価はなぜ乱高下するのか──実際の市場環境で考えてみよう!
4 ゲーム理論と行動経済学の共通点と相違点
意思決定理論の最前線、ゲーム理論
囚人のジレンマ──自分にとっての最適解が全体最適にならない?
「プロセス」よりも「結果」を重視するゲーム理論
5 物理学と経済学の融合──「現実」を見る経済物理学
金融工学を超えて
金融工学との違い(1)──正規分布を前提とするか否か
金融工学との違い(2)──均衡点は存在しない
生物の個体数の分布からクレジットリスクの分布へ
3 不合理な意思決定の源は脳にあり!──神経経済学入門
1 神経経済学とは何なのか
非合理なのは「脳」?
「脳への刺激」が意思決定を司る
2 神経科学と経済学の意外な関係
神経経済学の起源を知る
意思決定研究と脳機能研究との出会い
3 すべての意思決定は「脳」に通ずる
脳内物質ドーパミン
脳は効用を最大化しようとしている!
4 もはや大脳生理学? 神経経済学は経済学といえるのか
経済学者としての反省
神経経済学、2つの課題
第2章 なぜ合理的に決められないのか?──損失を恐れてダマされる心
1 「プロスペクト理論」──人間の「価値」の測り方を理論化する
1 非合理な意思決定(1)──プロスペクト理論と価値関数
非合理的な意思決定を解明する
「損失」への考察
価値関数と、2つのおかしな意思決定
2 損失と利益は非対称──価値関数
リファレンス・ポイントで「非対称」な心を読み解く
価値関数は、「主観」を反映する
3 「心の基準」はどうして当てにならないのか?──リファレンス・ポイントの移動
今日と明日とで変わる基準
富への執着が「リファレンス・ポイント」を動かす
4 とにかく損はしたくない! ──損失回避
損失の悲しみは利益の喜びよりも大きい
利益、損失とリスク許容度の関係
5 非合理な意思決定(2)──プロスペクト理論と「決定の重みづけ」
6 意思決定はここまで歪む──価値関数と決定の重みづけの融合
7 心は「言い訳」上手──気質効果・処置効果
自分への「言い訳」が判断を狂わす
満足して非合理的な選択肢を選んでしまう?
8 あなたの「せっかち」度を表す──双曲割引モデル
今日と明日とで価値は変わる
双曲割引モデルで「せっかち」度を測る!
2 認知的不協和──「明らかにおかしな選択肢」はなぜ選ばれるのか?
1 「葛藤」を解き明かす
2 コミットメントが意思決定を歪める──認知的不協和
3 心を乱す「コミットメント」
4 コミットメントと不協和をめぐる、4つの因果
5 バブルの中に「認知的不協和」を見る!
6 「現状維持バイアス」と認知的不協和
7 欲しいのは都合のいい情報だけ──選択的意思決定
8 失敗を正当化する心の働き──後悔回避とプライド効果
「後悔」を解き明かす
プライドが合理的な意思決定を妨げる
9 コミットメントから自由になれ!──損失回避と後悔回避への対処(1)
ある取締役の判断──周囲の目がコミットメントを生む
コミットメントを低下させる
10 2つの基準を確認せよ!──損失回避と後悔回避への対処(2)
3 心理勘定──心の会計処理は矛盾だらけ
1 心の帳簿「心理勘定」の欠点
損得にうるさい勘定の仕組み
「得するほう」を選べなくなるカラクリ
2 身近に潜む心理勘定のワナ──ファンドマネージャーとコンサート
とにかく損をするのはイヤ
少しの「差異」が支払うかどうかを変える
4 フレーミング効果とコントロール願望──私たちの決断は、なぜかくも「もろい」のか?
1 受け取り方が意思決定を左右する!──フレーミング効果
2 コントロール願望が錯覚を生む
3 コントロールへの欲求は「自己中心的」
4 「コントロールイリュージョン」5つの要因
(1)影響力を通じたコントロール
(2)予測を通じたコントロール
(3)影響力のある要素の認識によるコントロール
(4)事象の事後的説明
(5)ネガティブな結果の過小評価によるコントロール
5 コントロールへの「欲求不満」はなぜ起こる?
(1)結果の規模とその符号
(2)不確実性
(3)意思決定の結果を個別評価とするか、全体評価とするか
6 「行き過ぎた」コントロール願望
7 コントロールイリュージョンにどう対処すればいいのか?
第3章 直感はどこまで当てになるのか?──何度も同じワナにハマる心
1 ヒューリスティック──勘を信用しすぎる人間たち
1 意思決定の単純化をもたらす「ヒューリスティック」
直感の働きを理解しよう
情報の交通整理役、ヒューリスティック
2 ヒューリスティックは「諸刃の剣」?
3 必要な情報までも切り捨ててしまうなんて!──単純化
4 いつの間にかインプットされた情報が判断を乱す!──アンカーリング
5 日常生活に潜む「アンカー」に気づけるか?
6 手近な情報で、全体が見えなくなる──情報の利用可能性
利用しやすい情報と利用しにくい情報
認知的利用可能性
情報の利用可能性は何のために存在する?
2 初頭効果と代表性バイアス──情報の受け取り方ですべてが変わる
1 聞いた順番で印象が変わる?(1)──初頭効果
2 「初頭効果」と「人は見た目が大切」の真偽
3 聞いた順番で印象が変わる?(2)──親近効果
4 ほんの一部の情報が、すべてなのか?──代表性バイアス
3 私たちは、自ら進んで確率にだまされる
1 「そろそろ当たりが出るはずだ!」──ギャンブラーの誤謬
「勝手に」確率に期待を抱く
「下落したものは上昇する」は本当か?
2 あるバリュー株ファンド運用者と「ギャンブラーの誤謬」
3 その他のヒューリスティックと「処方箋」
連言のあやまり
条件付確率の誤り
経験的な関係の過大推計
因果関係の過大評価
帰属理論
4章 行動経済学はどこまで応用できるのか?──市場分析から政策提言まで
1 市場のダイナミクスを行動経済学で解く!
1 「市場は正しい」は本当か?
実践で使ってこその行動ファイナンス
銀行取り付け騒ぎはなぜ起こる?
市場価格の正しさは後づけなのか
2 「市場の温度を知る」ことは可能か?
意思決定の尺度は一定ではない!
担当者の「言い分」を行動経済学的に分析する
市場の温度の把握は、リファレンス・ポイントを探ることから
3 「株価への期待」をうまく利用する方法は?
「アービトラージャー」はバブルを待っている?
アービトラージャーの行動を分析する
4 市場の歪みから将来を予測できるか?
「未来予知」は可能?
2 ケースで学ぶ、行動ファイナンスとその応用
1 ケース(1)バブルとハーディング現象の関係
バブルは株主と経営者を一体化させる!?
ハーディングは個人のリスク許容度をも変える
2 ケース(2)史上最大の「ねずみ講」と初頭効果
未曾有の巨大詐欺事件
引っかかった投資家たちの心理を分析する
3 ケース(3)フォルクスワーゲン株式をめぐる心理戦とその顛末
4 ケース(4)「ドバイショック」を認知的不協和で読み解く
5 ケース(5)PIIGS問題をハーディング現象で解く
3 デフレは止められるのか?──政策実行のツールとしての行動経済学
1 経済政策と人間心理
2 行動経済学で日米の経済政策を比較する
(1)日本の経済政策を冷静に見る
(2)米国の経済政策はどうか
(3)政策運営に対する行動経済学的考察
3 景気は「気」から
あとがき
参考文献
索引
行動経済学 用語索引
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