目次


たまたま

日常に潜む「偶然」を科学する


[目次] [著者紹介]


表紙




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プロローグ


第1章 ランダムネスという不思議な世界
 ──ベストセラーは「たまたま」生まれる?


私が生まれたのはヒトラーのおかげ?
不確かさを前に人間が使う「二つの戦略」
怒鳴れば上達するという「直観的」誤信
出版社はベストセラーを見抜けない
大ヒット映画も所詮コイン投げと同じ
ハリウッドの栄枯盛衰も運次第
怒りを買ったホームラン王
マリスはなぜホームラン王になれたのか?
並外れた事象に並外れた原因はいらない


第2章 「それっぽい」話に潜む危険性
 ──真実と「一部」真実の法則


確率は手にサイコロをもった人間から生まれた
非論理的な「直観的」確率
「それっぽい」情報に弱すぎる人間
同じ過ちを犯す専門家
確率嫌いの古代ギリシア人
お粗末な記憶と「可用性バイアス」
ギリシア人のハンディキャップ
現実主義者ローマ人登場
確率を掛けるべきとき、足すべきとき
DNA判定の「本当の」精度
“コリンズ裁判”に見る確率の誤用


第3章 直観はすべての選択肢を把握できない
 ──カルダーノの「標本空間」がもつ威力


「ギャンブル」を初めて理論化した男
マリリンの災難──モンティ・ホール問題
生まれながらのギャンブラー、カルダーノの半生
『偶然のゲームに関する書』誕生
「標本空間」の威力
双子の赤ん坊の性別を予測する
なぜ、選ぶドアを変更すべきか?──ふたたびモンティ・ホール問題
カルダーノの成功と挫折と理論のゆくえ


第4章 「たまたま」成功する確率を知る
 ──パスカルの果たした二つの貢献


迷信から科学へ
ガリレオのギャンブル論
偶然の一致は意外と高頻度──誕生日問題
神童パスカル、ギャンブルにはまる
パスカルとフェルマーの往復書簡
一〇回に四回は弱いチームが優勝する“ワールドシリーズ”
すべての可能性を教え尽くす──パスカルの三角形
トランス状態のパスカルと「期待値」
宝くじを買い上げ利益を上げた投資家たち


第5章 大数の法則と小数の法則
 ──何人調べれば当選は確実とわかるのか?


真のランダムネスは存在しない?
ランダムかどうか検定する──ベンフォードの法則
乱数表は不完全
ジャガーの挑戦
潜在的な確率を知ることはできるのか?
微積分の二人の親──ニュートンとライプニッツ
一メートル先にたどり着けない?──ゼノンのパラドックス
ベルヌーイの「黄金定理」
五人調べるだけで潜在的確率はわかる?──小数の法則
ギャンブラーの誤謬──「もうそろそろ……」
ベルヌーイの最期と不仲の弟


第6章 「あなたが死ぬ確率は一〇〇〇分の九九九!」
 ──ベイズ的判断と訴追者の誤謬


奇妙な裁判、奇妙な主張
ベイズ理論、初歩の初歩
ベイズの地味な人生と、一片の論文
ベイズの思考実験──潜在的な確率を推測する
新米ドライバーが交通事故を起こすリスク
「フロリダ」という名の女の子
“死刑宣告”を受けた私がいまも生きている理由
潔白な選手でもドーピング検査に引っかかる確率は?
「訴追者の誤謬」というあべこべの論理
ミスリードされた裁判──O・J・シンプソンはなぜ無罪に?
ベイズの再発見者、したたかなラプラス


第7章 バラツキを手掛かりに真実をつかむ
 ──測定と誤差の法則


「測定」には誤差がつきもの
測定のための理論とツールの発展史
ワインの「格付け」はどれほど信頼できるか
曖昧な格付けがなぜ栄える?
データのバラツキ方にも法則あり──標本標準偏差
パスカルの三角形から「ベル曲線」へ
バラツキを評価してこそ
正規分布は誤差法則


第8章 ランダムネスを逆手に取る
 ──カオスの中の秩序


無秩序から秩序が生まれる不思議
一一世紀の国勢調査──限られた数値から社会全体を読み解く
「近代統計学の父」ケトレー登場
ポアンカレ、いかさまを見破る
ランダムな社会に普遍的法則はあるか
欠点は次世代で改善──平均回帰と相関係数
カイ2乗検定──統計的データを検証する
ブラウン運動──ランダムなパターンが見せる見かけの力
あらゆるものの根本にドランカーズ・ウォークあり


第9章 パターンの錯覚と錯覚のパターン
 ──偶然の出来事に「勝手」に意味を見いだす


知覚は想像作用の産物である
一度認識したパターンはなかなか捨てられない
ランダムがランダムに見えない!──ヒューリスティクス
運だけで連続一一年市場動向を正しく予測した男
「特別な能力が成功の連続をもたらす」──ホットハンド誤謬
ミラーの真実──偶然に身をまかせても成功できる
がんが発生しやすい地域は存在するか?
偶然をコントロールできるという錯覚
思い込みはどんどん深まる──確証バイアスの罠


第10章 ドランカーズ・ウォーク
 ──偶然とうまく付き合っていくために


未来は予測できないのか?
蝶のはばたきが嵐を呼ぶ
「真珠湾攻撃を予測できた」証拠
「あと知恵」という錯覚
未来は起こってからしか理解できない、というもどかしさ
ほんの少しの誤差がもたらすインパクト
ブルース・ウィリスのサクセス・ストーリー
ビル・ゲイツの富は才能の結果なのか
偏見はいとも簡単につくられる
「期待」がランダムネスの作用を見えなくする
偶然の働きに惑わされずに生きること
必然性という幻想を超えて


訳者あとがき

注記

索引



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著者

レナード・ムロディナウ(Leonard Mlodinow)
カリフォルニア大学で物理学の学位を取得後、マックス・プランク研究所フンボルトフェローを経て、現在はカリフォルニア工科大学(カルテック)にて未来の物理学者たちに「ランダムネス」について講義している。現在はカリフォルニア州パサデナ在住。著書に『ユ−クリッドの窓』 (日本放送出版協会)、『ファインマンさん最後の授業』(メディアファクトリ−)、『ホ−キング、宇宙のすべてを語る』(共著・ランダムハウス講談社)などがある。「スタートレック ネクストジェネレーション」や「冒険野郎マクガイバー」といったテレビドラマの脚本を手がけたこともある。

訳者

田中三彦(たなか・みつひこ)
1943年栃木県日光市生まれ。翻訳家であり、科学評論家でもある。東京工業大学生産機械工学科を卒業後、企業のエンジニアを経てサイエンスライターになる。
著書には『科学という考え方』(晶文社刊)『原発はなぜ危険か』(岩波新書刊)『空中鬼を討て』『複雑系の選択』(以上小社刊)などがある。主な訳書には『複雑系』(M・M・ワールドロップ、共訳・新潮社)、『スピリチュアル・マシーン』(R・カーツワイル、共訳・翔泳社刊)、『生存する脳』『無意識の脳 自己意識の脳』(共にA・R・ダマシオ、講談社刊)『感じる脳』(同、小社刊)などがある。


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