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はじめに 経済学は経験科学——だから歴史的な事例で語る
第1部 貨幣数量説の栄光と挫折
1 マネーと物価の基本的関係
銀行は“打ち出の小槌”か
マネーと物価の関係
そして貨幣数量説とは
2 16世紀の価格革命と原始的な数量説
価格革命のマネタリーな説明
相対価格は物価水準を決定しない
仙人の治める孤島にて——経済モデルを想定する
原始的数量説の問題点
3 マネーの拡大とデフレ
19世紀後半のイギリスは、大不況か大繁栄か?
相対的に「マネーの量が少なくなった」
新古典派経済学の貨幣数量説
新古典派的貨幣数量説の妥当性
4 ハイパーインフレーションとその終焉
新古典派の数量説とその限界
ハイパーインフレーションとマネー
静学モデルから動学モデルへの転換
なぜハイパーインフレは、突然に終わったか
5 昭和恐慌を終わらせた「期待の転換」
物価動向は「将来の貨幣量への予想」の影響を受ける
インフレを抑えられても生み出せない?
1920年代の激しい経済論戦
政策レジームの「認識」がデフレを生む
6 スタンダード・モデルの歴史的制約
テクニカル分析の正体は……
ランダムウォーク——将来、上がるか下がるかわからない
なぜランダムウォークが貨幣数量説の妥当性につながるのか
第1部◎まとめ
第2部 為替レートの悲劇と喜劇
1 通貨交換への貨幣数量説アプローチ
円・ドルの交換比は、両国の金融政策の比較によって決まる
金本位制下の「裁定」とその消滅
為替レート理論の王道
日本のサービス業価格はなぜ高いのか
購買力平価説+貨幣数量説=?
単純なマネタリーアプローチでは、説明力がない
円ドルレートの80%を説明する「ソロスチャート」
2 重商主義の根拠と無根拠——固定相場制下のマネー
経済学事始めと自由貿易の利益
金本位制下の貿易と貨幣量
さらなる落とし穴——やはり重商主義には根拠がある?
貿易赤字は悪である——「信仰」の恐ろしさ
3 固定相場制のメリットとデメリット
金本位制の利点とその限界
金本位制と固定相場制の共通項
固定相場制下では金融政策は受動的に決定されてしまう
金融政策輸入手段としての固定相場制
第三次吉田内閣の功績
自国通貨高のインセンティブとは
債務国にとっては、「固定相場制」が唯一の道なのか
4 投機アタックとキャピタルフライト——固定相場制の崩壊
「対外債務の返済」が政策目標となる国とは?
外貨準備放出による為替レートの維持とその限界
通貨アタックとキャピタルフライト
三井のドル買い——投機アタックが果たした役割
投機アタックは極悪非道の行動か、正当な経済取引か
5 空前絶後の幕府貨幣制度!?——幕末開港期の金流出
幕末開港期に起こった“裁定”による金流出
金流出を止めるための日本の対応とオールコックの「忠告」
結局、正しかったのは誰なのか
幕府の貨幣制度は「進みすぎていた」という悲劇
第2部◎まとめ
第3部 金融政策——マネーとは結局何なのか
1 不換紙幣としての小判——グレシャムの法則と幕府幣制
グレシャムの法則の誤用
グレシャムの法則のメカニズム
南鐐二朱銀とグレシャムの法則
江戸の貨幣と信用貨幣制度
管理通貨制度の成立条件とは
幕末金流出の真の原因は何か
2 管仲と金融政策
2700年前の経済政策理論
金融政策の出発点——『管子』から読み解く
3 政策評価は、なぜ統一されないか
金融政策がもたらす再分配と相対的所得格差の問題
貨幣政策の2つの影響経路
江戸時代に見る、インフレーションによる再分配
インフレの経済刺激効果とは
4 江戸後期のモデル家計
御家人何野家の借金生活
貨幣改鋳は、借金地獄の何野家を救ったか
文政の改鋳後……米価安の諸色高
お殿様から見た文政改鋳の評価
政策目標によって異なる「政策評価」
幕府の経済政策が抱えるジレンマ
5 政策目標の統一は必要か——金銀複本位制のメリットとデメリット
相対価格と一般物価の違い
金銀複本位制とグレシャムの法則
「銀貨が悪質」になる条件とは
複本位制の自動調節機能
1873年の犯罪——金本位制への移行
第3部◎まとめ
おわりに 歴史が現実と理論をつなぎ、理論は歴史を解読する
【特別対談】
佐藤雅美×飯田泰之——江戸時代に見る、景気と貨幣のメカニズム
年表
索引
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