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プロローグ:経営医学序説
第1章 人はインセンティブと性格の奴隷である[経営と人間]
経営とは人の営為
経営において人間を観る視点——弱さへの洞察
危機の実体験から見えてきた経営のリアリズム
擬似サラリーマン生活とドブ板営業で学んだ企業組織内の人間学
大組織の中間管理職は半分に減らしても業務をこなせる
大企業の行動様式——なぜ儲かるか儲からないか、でビジネスを判断しないのか
ひとりの人間も、集団としての組織も、インセンティブと性格の奴隷である
個々のインセンティブ(情の論理)を洞察し、理解することからすべてが始まる
個人の動機づけ(自己益)、組織の動機づけ(組織益)、社会の動機づけ(社会益)の同期化
第2章 戦略は仮説でありPDCAの道具である[経営と戦略]
戦略とは持続的な競争優位を構築する合理的な施策の体系である。
変化するものと、変化しないものを見極める
事業の基本的な経済構造は裏切らない
経営が教科書どおり進まないのは、人間が介在するから
トヨタはずっと再生している。だから強いのだ
第3章 組織の強みが衰退の要因にもなる[会社の腐り方]
欧米的でもソ連的でもない日本人に合理的な仕組み
二〇世紀版日本的経営の前提は八〇年代に完全に崩れていた
誰のすぐ隣にもあるグローバリゼーション
先人たちの遺産を食いつぶしたことで乗り切った一五年
既得権益者がリーダーでは変革は行われない
会社は共同体を守るためロスト・ジェネレーションをつくった
頻発する企業の不祥事はなぜ起こっているのか
日本企業の多角化にも、欺瞞の理由が潜んでいた
日本企業の根幹的な強さは現場にこそある
変革のカギは、よくも悪くも自社のDNAにある
変革の根本は、やはり合理。既得権益の罠にはまらない
第4章 産業再生の修羅場からの臨床報告[現場のカルテ]
産業再生機構のCOOを引き受けた条件
幹部スタッフが健全なインセンティブの奴隷となって再生機構はスタートした
一〇兆円のファンドで、意思決定レイヤーは三つだけ
分野の専門家は求めなかった。あくまで企業再生のプロを育てたかった
組織に閉じこめられたまま海に沈んでいく人を助ける
腐りかける会社のタイプその(1):名門一流大企業型
腐りかける会社のタイプその(2):地元名門企業型
腐りかける会社のタイプその(3):創業オーナー大企業型
再生は言い訳との戦い。そして、当たり前のことを当たり前にやること
カネボウ再生のシナリオはいかにしてつくられたか
伝統的大企業の中で、どうやって四一歳の社長を誕生させたか
日本の多くの会社が、カネボウの連続線上にある
第5章 ガバナンス構造を徹底的に見直せ[予防医学その1]
腐敗防止と持続的成長のインフラとしての統治構造
株主主権型ガバナンスだけが選択肢として語られる愚
かつて日本にも、有効に機能したガバナンス機構があった
ガバナンス機構の究極的な役割は、経営者が適正かどうかの判断のみ
ガバナンス構造と企業理念は、会社の憲法
短期売買が当たり前の市場で株主統治が果たして可能なのか
まずはルールとグラウンドの整備を
統治メカニズムの健全化と活性化のカギは時間軸の一致
市場参加者の進化も必要——経営を語れる者はガバナンスを語るべからず
人材市場のコペルニクス的転回を。高学歴者に雇用保障などいらない
M&Aは人材市場流動化における日本的な解
その会社は何のためにあるのか、が忘れられたとき、悲劇は起こる
第6章 今こそガチンコで本物のリーダーを鍛え上げろ[予防医学その2]
会社を腐らせない最強の予防薬は、強い経営者と経営人材の育成・選抜
経営者も、経営者候補も、鍛えられる機会がなかった
試験型エリートをリーダーにすることが、本当に正しいことなのか
胆力と自分の頭で考える能力——東大卒とは無関係?
中国、インドの勃興は、欧米との国際競争とはまったく違う脅威である
一流企業のガチンコなど所詮は「ごっこ」にすぎない
組織からはみ出す根性のない人間をリーダーにしてはいけない
トップの要件——一〇〇万円を稼ぐ大変さを肉体化して理解させよ
女性、若者、学歴のない人間は“眠れる資源”だったという幸運
ファイナンスを知らない経営者——平時においても事業と財務は一体
若いエリートは、あえて負け戦に飛び込め
人間的要素と算数的要素とにのたうち回ることから、経営は始まる
エピローグ:今はまだ経営を語らず
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