目次

はじめに

第１章　私たちの会社ができるまで

　　　　──文化を見出し、確定させる

スティーブ、ジェニー、エバ、名前の由来 
トレンドマイクロの創業 
インテルとの提携と決別 
日本の流儀と“闘う” 
「真夜中の電話」事件 
日本で株式上場を果たす 
スティーブの迷い 
天に不測の風雲あり
トレンドマイクロのコア・コンピタンスとは 
インテルのマネジャーをスティーブの後継者に 
無数の軋轢と混乱が生じる 
後継者は去り、スティーブが返り咲く 
社長夫人の迷い 
未知の道こそ行く価値がある 
文化はどう形成されたか 
文化も刷新しなければならない 
ビジョンとミッションを策定する 
重視すべきはイノベーションか顧客か 
四菜一湯の文化 
パラマウント・プロジェクトの開始

第２章　停滞との果てしない戦い

　　　　──文化を耕し豊かにする

やるべきことは「優雅な退場」 
父の遺言「自分に時間をあげなさい」 
「経営の第一線に立つ」というエバの決意 
サイレント・キラー探索フィットネス 
九つの実行手順 
外議員と内議院 
マネジャーの訓練かつショック療法 
フィッシュボウル・ディスカッション 
スティーブの爆弾発言 
エバが構想した新たな組織とは 
トレンド・グローバル・サミット 
五場に分かれた舞台シナリオ 
台北の青空のもとでの「オネスト・ダイアログ」 
サプライズ・パーティー

第３章　ある日、最大のトラブルがやってきた

　　　　──危機を乗り越えるための文化

妹がボスになる 
プンタ・カーナでの社内バカンス 
嵐の前の静穏な日々 
594という災厄の数字 
退任者は関与すべきではない 
マネジャー会議が緊急事態会議に 
日本時間2005年４月23日土曜日早朝４時 
４月23日午前９時 
４月23日午前11時 
顧客のために、会社のために 
総力を挙げて対応する 
公明正大を貫いた記者会見 
日台中、被害の実態 
ＣＥＯなりたてのエバが直面した試練 
鉄道大事故は無関係だった！ 
エバ、東京へ 
郷に入れば郷に従え 
台本どおりではなかった人間味のある記者会見 
処分されたのはトップ２人のみ 
「人間が根本」という企業文化 
顔回は過ちを繰り返さない 
イノベーションの奨励はミスの許容につながる 
ミスを犯したチームへの書簡 
日本の社員からの贈り物 
効率と人間性のバランス 
株価には大きな影響なし 
スティーブが決めた賠償方針 
見限った顧客は１社もなかった 
危機がもたらしたテクノロジーの飛躍 
なぜ彼らは逃げ出さなかったのか 
文化の発酵

第４章　面白い仕事をつくるために

　　　　──文化は戦略実行の鍵である

ＣＣＯに就任 
文豪のお世話をする 
企業と文化の麗しい循環 
ＣＣＯがなすべき役割に悩む 
　ＣＣＯの任務❶ 文化の価値を高める 
　ＣＣＯの任務❷ フィードバック──トレンドマイクロの資源と特長を社会に還元する 
　　[コラム]　東日本大震災に対するトレンドマイクロの取り組み 
　ＣＣＯの任務❸ 社員の心をつなぎ止める 
理想と業績のバランスを取る 
模索と前進の繰り返し 
水と陸に棲む両生類 
芸術は国境を越える 
パートナー同伴イベントが大成功 
ジェニーズ・ティータイム 
営利と非営利、持ちつ持たれつの関係 
笑い声が明るいハイテク企業 
ＣＣＯ九年間の成果は心の安らかさの獲得 
相思樹に託したスティーブの夢 
ソーシャル・エンタープライズの探索 
スティーブを釘付けにしたスライド 
身障者の就業機会の創出というビジネス 
　　[コラム]　若水で得たもの悟ったこと──陳潔如 
ＩＴ人材のトレーニングセンター 
企業文化は戦略実行の鍵 
トレンドマイクロを「学習する組織」に 
覚醒なくして変化なし 
自分が分からなければ自分自身にはなれない 
「Ｐ＝ｐ−ｉ」というマネジメント哲学

おわりに

著者

ジェニー・チャン（陳怡蓁）
トレンドマイクロのCCO（最高文化責任者）。1956年台湾生まれ。台湾大学中文科卒業。1989年スティーブ・チャンとともにトレンドマイクロを設立。同社の発展、戦略、マネジメントに直接携わってきた。トレンド教育基金会の理事長兼ＣＥＯ、華人心理治療研究発展基金会の理事長などを兼務している。著書に『トランスナショナルカンパニー—国境を超えたマネジメント』（メディアセレクト、2004年）『ウイルスバスターの冒険—トレンドマイクロ創業物語』（ダイヤモンド社、2000年）がある。

訳者

中川友（なかがわ・とも）
㈲筆桃代表。東京外国語大学中国語学科卒。東京都市大学講師。ジェニー・チャンの著作を含む訳書に、『中国現代化の落とし穴』（草思社、2002年）など多数。