仮想通貨革命
ビットコインは始まりにすぎない
仮想通貨革命
ビットコインは始まりにすぎない
書籍情報
- 野口 悠紀雄:著
- 定価:1650円(本体1500円+税10%)
- 発行年月:2014年06月
- 判型/造本:4/6並製
- 頁数:276
- ISBN:978-4-478-02844-5
内容紹介
ビットコインをはじめとする仮想通貨が、世界を揺るがし始めている。管理主体を持たない通貨、国家の枠組みを超えた通貨として、経済・社会の枠組みを変え、ビジネスや日常生活をも変えようとしている。従来の通貨が脅かされるとき、何が起きるのか。そのインパクトと日本経済の課題を明らかにする。
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目次
はじめに
第1章 通貨革命が始まった
1 突然登場した新通貨
ビットコインは通貨史上の革命
ビットコインの中心は「正しい」取引記録
マイクロペイメントが引き起こす社会革命
送金コストが下がるとeコマースが変わる
国際送金がビットコインに代替される
社会運動の新しい形
仕組みを理解する必要
2 マウントゴックス破綻の教訓
深刻な誤報と誤解:死んだのは両替所。ビットコインではない
私の意見は「言い訳」?
正確な情報が利用者を守る
利用者保護で政府がなすべきこと
3 金融機関はどう見ているか
積極的な評価をしたバンクオブアメリカの報告
eコマース決済と国際送金が主要な役割
銀行業務が代替されると影響は大きい
重要なのは基本構造:ビットコイン改善提案
銀行の積極的関与を提案するUBSレポート
供給スケジュール設計は経済学者の仕事
4 急速に広がる実生活での利用
増加する受入店舗
レストランの支払いをビットコインで行なう
記事の切り売りシステムを提供
ビットコインの送金コストはどの程度か
世界から取り残されている日本
第2章 きわめて斬新なビットコインの仕組み
1 電子署名でビットコインを送る
仕組みについて最低限理解すべきこと
電子署名で、なりすまし、改ざん、否認を防ぐ
公開鍵、秘密鍵、アドレス、ウォレット
デジタル署名による送金
ペーパーウォレット
アドレスから持ち主を推測できるか
2 ブロックチェーンに取引を記録する
電子的手段の問題は二重使用
取引記録の公開で二重使用を排除する
ブロックチェーン
3 ビットコインの中核は「プルーフ・オブ・ワーク」
プルーフ・オブ・ワークを課す
正直な協力者になるのが合理的
ハッシュキャッシュ計算
管理主体がないことが重要な発明
4 「ビザンチン将軍問題」を解決した
裏切り者がいるネットワークで正しい合意を形成する
難しい計算問題を課せばよい
ビットコインは社会の基盤に関する根源的な問題を提起する
5 ビットコインは電子マネーとまったく違う
すでに日常生活に入っている電子マネー
「造幣局方式」で二重使用を防止する
電子マネーは現金の変形にすぎない
電子マネーの問題(1)手数料が店舗の負担になる
電子マネーの問題(2)単独の運営では採算がとれない
ビットコインで初めて可能になること
第3章 ビットコインに続くもの
1 アルトコインズはビットコインのクローン
200以上あるビットコイン類似コイン
複数通貨の競争が起きる
ドメイン名を取引するネームコイン
2 新しいコンセプトのリップル
リップルの基本的な仕組み
リップルはどのように機能するか
送金機能に焦点を絞る
信頼できるゲイトウエイが多数誕生するか?
3 ケニアで起こった通貨革命
エムペサ?ケニアが通貨先進国?
エムペサの仕組み
エムペサはダイレクトバンキングの一種
ビットコインとは競合でなく補完?
通貨革命が生じる条件
第4章 現代の通貨はどこに問題があるか
1 「通貨」とは何か
通貨の大部分は預金通貨
通貨、貨幣、現金はどう違う?
貨幣は情報である。金属ではない
小切手とクレジットカード
日本は振込先進国
銀行を通じる送金のコストは、少額送金では高い
2 部分準備制下の預金価値は信用できるか
部分準備制の発明
人々は通貨を信用しているか?
3 前時代的な国際送金の現状
国際送金で何が問題となるか
為替手形:B/E
信用状:L/C
銀行振込による決済:T/T
スプレッドも送金コストの一種
日本からの送金コストは高い
大規模な取引でも、国際送金には問題がある
アフリカへの送金にビットコイン
送金コスト引き下げは重要な成長戦略
第5章 通貨革命は社会をどう変えるか
1 仮想通貨最前線を探る
ビットコインは出発点にすぎない
スマート・コントラクト
第三者のいないエスクローを実現
スマート・プロパティ
DAC:自動化された企業
野心的なイサリアムの計画
「共有地の悲劇」を避ける
2 新しい技術の意義は過小評価される
IT革命を過小評価した人々
電話は「おもちゃ」と見なされた
通貨技術革新の影響も過小評価されている
3 仮想通貨と国家の緊張関係
ハイエクの貨幣自由化論
金融緩和の真の目的は国債の貨幣化
ビットコインがあると国債貨幣化は困難に
外国通貨への逃避が政府行動を制約する
ビットコインは税に関して基本的な問題を提起する
税の基本構造をビットコインに合わせる
4 われわれの仕事はどう変わるか
投資でなく、積極的な関与を
いつクリティカルマスに達するか?
変化に抵抗するのでなく、適応する必要
金融機関が最も大きな影響を受ける
小企業や個人が有利になる
ホワイトカラーのオートメーション化
5 分散市場と自動化企業が作る未来社会
起業が容易になれば社会は進歩する
注目を集めるキックスターター
アイルランドで復活した予測市場
集中管理から分散市場への移行は重要
カラードコインで「自分の株式」を発行する
日本のイノベーションは官僚機構を経由
人間の評価が必要な事業も自動化できる
ドットコム企業はDACに滅ぼされる
6 ブロックチェーンでサイバー空間の信頼関係を築く
ブロックチェーンを存在証明に使う
古くて新しい問題:自由と信頼関係のトレードオフ
サイバー空間では、複数のアイデンティティを持てる
サイバー空間でのアイデンティティ確立が必要
運営主体が政府や企業では問題がある
分散型のアイデンティティ証明は実現できる
補論 公開鍵暗号と電子署名
1 モジュラ演算
2 ディフィー=ヘルマン鍵共有
3 RSA暗号
4 電子署名
ハッシュ関数
電子署名の仕組み
SSL認証
5 楕円曲線暗号とECDSA署名
楕円曲線
楕円曲線を用いる暗号化
楕円曲線を用いる署名(ECDSA署名)
6 分散市場の仕組みと自動化された通信社
分散市場における取引
通信社をDACで運営する
文献・情報源紹介
索引
著者
野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。
〈主要著書〉
『情報の経済理論』(東洋経済新報社、1974年、日経経済図書文化賞)、『財政危機の構造』(東洋経済新報社、1980年、サントリー学芸賞)、『バブルの経済学』(日本経済新聞社、1992年、吉野作造賞)、『「超」整理法』(中公新書、1993年)、『日本式モノづくりの敗戦』(東洋経済新報社、2012年)、『金融緩和で日本は破綻する』、『虚構のアベノミクス』(ダイヤモンド社、2013年)、『期待バブル崩壊』(ダイヤモンド社、2014年)、『変わった世界変わらない日本』(講談社現代新書、2014年)等多数。
◆ホームページ:http://www.noguchi.co.jp/
電子書籍は下記のサイトでご購入いただけます。
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