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そして、日本の富は略奪される

アメリカが仕掛けた新自由主義の正体

  • 紙版

そして、日本の富は略奪される

アメリカが仕掛けた新自由主義の正体

書籍情報

  • 紙版
  • 菊池 英博:著
  • 定価:1980円(本体1800円+税10%)
  • 発行年月:2014年01月
  • 判型/造本:46並製
  • 頁数:352
  • ISBN:978-4-478-02591-8

内容紹介

政治家、官僚、大企業経営層、マスコミなどが礼賛する新自由主義。しかし、その実態は「改革」の名の下、旧来の社会を破壊し、蓄積した富を一部の人間が奪うためのイデオロギーだった。「1%の人(悪魔)だけが富み、99%は貧困になる」格差社会に直面した日本の危機を、歴史的・経済的データから明らかにする。

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目次

はじめに

序章 1%の悪魔が日本を襲う

再び悪魔に犯される日本
悪魔を追い払おうと二度も政権交代が起こった
21世紀の対立軸──「新自由主義・市場原理主義」か「共存共栄資本主義」か
1%が99%の富を略奪する
世界に広がる反新自由主義──ニューヨークで発生した格差反対デモ
フランクフルトでも籠城して抗議する勇者たち
「構造改革」は「トロイの木馬」だった
国民の期待にどう応えるか

第1章 新自由主義という悪魔の誕生

「国家からの自由」を求めるユダヤ出身学者の思想
「ポンド空売りで儲けろ」弱者への思いやりを欠いた男
大恐慌を引き起こした自由放任主義と均衡財政
大恐慌を救済したニューディール政策
福祉型資本主義で「貧困・不況・格差」は過去のもの
不況なのに物価が上がる(スタグフレーションの発生)
新自由主義者・市場原理主義者がインフレ抑制に成功
新自由主義者・市場原理主義者による福祉型資本主義攻撃
大恐慌の解決手法を偽装するマネタリズム
政治的スローガンになったトリクルダウン理論の罪
サッチャリズムは新自由主義・市場原理主義
レーガノミクスから使われる破壊の武器
マネタリズムの導入で繰り返し起こったバブル

第2章 「自由」とは「海外侵略」のことだった

シカゴ・ボーイズによる南米での実験でわかったこと
ワシントン・コンセンサス
東アジア通貨危機──東アジア諸国から富を収奪
アメリカに要請された規制緩和が引き起こした通貨危機
IMFのデフレ清算方式で経済恐慌が発生
「IMF恐慌」の実情とマレーシアの反IMF政策

第3章 まやかしだったアメリカの市場原理主義

レーガンの経済再生計画の理念として具体化
双子の赤字から債務国へ転落
プラザ合意によるドル切り下げと均衡財政法の制定
軍事バブルと金融緩和で株高演出(グリーンスパンの登場、ブラックマンデーで暴落)
父ブッシュ大統領は緊縮財政でデフレへ
国内では公共投資で福祉型資本主義復活を狙ったクリントン
ワシントン・コンセンサスとマネタリズムで東アジアの富の収奪を企てた
新銀行法に署名し、バブルを促進させる法的な根拠をつくった
「年次改革要望書」(日本改造勧告書)を送り始めた
子ブッシュ大統領は徹底した新自由主義・市場原理主義でアメリカを崩壊させた
経営責任を問わず破綻に瀕した金融機関へ公的資金注入
デフレ突入寸前に公共投資でアメリカを救ったオバマ大統領
戦時には軍事費が公共投資
冷戦終了後は政府投資が経済成長の牽引力(クリントン・モデル)
公共投資の増加に比例して、経済が成長し、税収が増え、債務が減少する
新自由主義・市場原理主義から脱却できなかったクリントン
格差が広がるアメリカ、上位1%しかマネーは流れてこない
アメリカがデフレを回避させる3つの方法
石油、穀物、資源価格を引き上げて消費者物価を上昇させる
政府債務上限論争こそ新自由主義の帰結(激化するイデオロギー対立)
トリクルダウン理論を否定するアメリカ議会予算局の報告

第4章 悪魔に対抗する欧州資本主義

弱肉強食型米国資本主義に対する強い批判
長年の欧州の悲願を確立した欧州社会憲章
人間尊重・福祉重視のリスボン宣言
「社会的ヨーロッパ」から見たドイツ型とフランス型資本主義
ドイツ型の金融政策は物価安定だけが目標、バブルを起こさない
アメリカの投機商品の危険性を指摘していたヨーロッパ
CDSの規制を求める欧州、CDSを称賛したグリーンスパン
経済成長と所得の再分配機能(財政政策)が社会を安定させる

第5章 日本はこうして悪魔に犯された

中曽根康弘首相が日本に導入した新自由主義・市場原理主義
自己資本比率規制の導入で日本の銀行活動を制限
冷戦後のCIAは日本を第一の目標としている
アメリカは新自由主義・市場原理主義による日本改造計画を書面で通告
首相官邸内に国会の承認のない会議を設置
日本のシカゴ・ボーイズが官僚・学者・大マスコミに潜伏
「年次改革要望書」で実現した「カイカク」の内容
日本機関車論から日本財布論へ
小泉首相はデフレを法制化し国内の資金を余らせて米国債に投資した
「年次改革要望書」を実行する閣内組織を拡充
基礎的財政収支均衡策で子ブッシュ大統領に貢いだ小泉首相と財務省
円高対策と称して多額の米国債を購入
金融緩和でマネーはニューヨークへ渡る(円キャリートレード)
地方交付税交付金と国庫補助金を大幅に削減して米国債購入の原資を捻出
デフレ政策の結果、国内から94兆円が海外へ(米国債へ70兆円)
アメリカの財布になろうとした郵政民営化(自民党の正義派・愛国派が反対)
憲法違反の衆議院解散とアメリカの選挙介入
自民党の圧勝で日本郵政公社の民営化実現
政権交代によって間一髪、国家破綻を免れた
新自由主義・市場原理主義に便乗して利権を狙う「日本のレントシーカー」
銀行免許を交付した日本振興銀行は6年5カ月で破綻
郵政公社の民営化で巨額の国富が流失
リストラを促進させる人物が人材派遣会社の会長として私服を肥やす

第6章 破壊され成長を阻害された日本の実態

新自由主義・市場原理主義の実験30年の帰結
特異な結合が「日本型新自由主義」を生んだ
破壊的改革を要求する勢力と結合
アメリカの対日政策と日本の大企業の利益が結合
デフレを好む財務省は、高度成長を実行した先輩に学べ
金利上昇を杞憂する財務省──心配無用
イギリス女王エリザベス2世が嘆く新自由主義経済学者の貧困な経済理論
日本の資本主義の崩壊を狙う社会主義者・共産主義者
日本財布論で日本人の富を使わせないようにするアメリカと新自由主義者
マンデル・フレミング理論は日本に適合しない
黒田東彦・浜田宏一・岩田規久男の経済理論は間違っている
アメリカの金融緩和縮小(出口)の補充として利用される日本の超金融緩和
「座して死を待つ敗北思想」の学者たち、しかし若手精鋭の反論が見られる
偽りの財政危機──政府債務の実体は新聞公表の半分
橋本元首相が財務省の債務誤認と緊縮財政を詫びた
「内閣府」の狂った羅針盤(公共投資の経済効果を意図的に否定)
オバマ大統領の政府投資の乗数効果は3年で2.5
「いざなぎ以来の景気回復」は大嘘

第7章 TPPはアメリカの日本占領政策

アメリカの真の狙いは何か──「悪魔の罠」にはまる日本
中国と共存共栄路線をとるアメリカ(日本の孤立化を狙う)
TPPに参加してもGDPは10年間で実質3.2兆円増に過ぎない
自民党が国民に約束した6項目
「非関税障壁撤廃に反対する自民党の公約」を拒否する官僚
日米で受け止め方が異なる日本のTPP交渉参加決定
事前協議で「非関税障壁」も協議対象と決定
米韓FTAでわかった「非関税障壁」こそ「悪魔の罠」
米韓FTAに仕組まれた不平等条項
米韓FTAで見られるアメリカの圧力と手口
TPPによる日本の金融サービス業潰し
TPPによる共済と農協潰しの手口
TPPよりも前から出ている医療・医薬品・医療機器への要求
TPPで医療格差が拡大する
アメリカ型の大規模農業導入で、日本の農業生産力は激減
日本の米はどうなるか
TPP参加で日本は「主権在米」になる
TPP世論調査の疑惑──日本の大マスコミは中国・北朝鮮と同類
重要5農産物も関税撤廃の対象、アメリカは交渉を大統領に一任か

終章 こうすれば新自由主義の侵略を阻止できる

「超」金融緩和はマイナスのほうが大きい
日銀マネーはアメリカの超金融緩和縮小に利用され、日本経済を破壊する
機動的な財政支出は長期間継続して初めて効果が出る
産業競争力会議の提案は供給サイドの要求ばかりでデフレ解消政策に反する
「国家戦略特区」はアメリカの租界である
「岩盤」というセーフティネットの破壊を狙う
マネタリズムはやめなさい
恐慌型デフレは財政主導で有効需要を喚起する政策しか解消の道はない
日本型の新しい資本主義がある
新たな財政規律の指標を設定せよ
GDPデフレーターをデフレ解消の指標とする(インフレターゲットの廃止)
需要不足は消費税増税前で最低100兆円
格差縮小の政策を導入すること──社会の安定が経済成長をもたらす
デフレ下で消費税を増税した国はすべて失敗
消費税増税初年度で名目GDPは15兆円減り、5年後には36兆円減る
「5年100兆円の政府投資」計画の経済効果
第二次5カ年計画で本質的にデフレ脱却ができる
むすび


おわりに

参考文献

事項索引

人名索引




著者

菊池英博(きくち・ひでひろ)
1936年生まれ。東京都出身。東京大学教養学部(国際関係論・国際金融論専攻)卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)へ入行し、本部と内外営業拠点で国際投融資の企画と推進、銀行経営に従事。ニョーヨーク支店外国為替課、ミラノ支店長、豪州東京銀行取締役頭取などを歴任。1995年、文京女子大学(現文京学院大学)経営学部教授に就任、2000年に同大学院教授(国際金融・日本経済)を兼務。2007年からは日本金融財政研究所所長・経済アナリストとして活動している。この間、金融庁参与(日本振興銀行に対する行政対応等検証委員会委員)を歴任。
1998年8月の金融危機に際しては、大手行に公的資金注入(資金枠25兆円)を提案し、金融機能早期健全化法として法制化された。さらに銀行本体での株式保有の禁止を提案し、狭義の自己資本(Tier1資本)の範囲内での保有制限として法制化された。その後、衆参両院の予算委員会で「日本の財政は純債務で見るべきであり、財政危機ではない」「積極財政をとらないと、財政再建は不可能」と提言。2012年3月2日の衆議院予算委員会では「日本のデフレは恐慌型であり、財政主導・金融フォローでしか解消できない」「5年100兆円の政府投資と投資減税によるデフレ解消策」を提案し、安倍政権の経済政策の原点となる。「エコノミストは役に立つのか」(『文藝春秋』2009年7月号、東谷曉氏)で「内外25名中ナンバー1エコノミスト」にランクされた。著書に『消費税は0%にできる』『増税が日本を破壊する』(ともにダイヤモンド社)、『日本を滅ぼす消費税増税』(講談社現代新書)、『銀行の破綻と競争の経済学』(東洋経済新報社)などがある。

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