日本経済を創造的に破壊せよ!
衰退と再生を分かつこれから10年の経済戦略
日本経済を創造的に破壊せよ!
衰退と再生を分かつこれから10年の経済戦略
書籍情報
- 伊藤元重 著
- 定価:1650円(本体1500円+税10%)
- 発行年月:2013年03月
- 判型/造本:4/6並製
- 頁数:258
- ISBN:978-4-478-02425-6
内容紹介
不安定化する世界経済、急成長するアジア、迷走するTPP、財政危機と国債暴落のリスク…難問山積の日本経済を再生するために必要な視点とは? 少子高齢化、グローバル化、IT化の進展といった長期的トレンドを所与とすれば取るべき戦略は明らかだ。安倍新政権の経済財政諮問会議委員が示す復活への処方箋!
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目次
はじめに
序論 アベノミクスが目指すべき経済政策
リスクオンへ動き始めたグローバル経済
なぜデフレは問題なのか
「三本の矢」と「トリプルA」政策
インフレーション・ターゲティング
財政刺激と財政健全化
成長政策こそがデフレ脱却のポイント
日本を脱皮させよう
第1章 なぜ日本経済に創造的破壊が必要なのか
転換期に求められるシュンペーター的思想
ケインジアンと新古典派それぞれの限界
シュンペーター的思想の可能性
市場が発した警告
長期トレンドを見ることの重要性
中国の2030年ビジョン
足もとの細かい動きに惑わされてはいけない
日本の長期トレンドは「高齢化」と「アジアの成長」
アジアの成長のスピードを実感せよ
「一人当たりGDP=6万ドル」の壁をいかに突破するか
人口減少や高齢化の異なる側面
世界のなかの日本のランキング
日本は「罠」から抜け出せるのか?
変化のイメージ
第2章 「大いなる安定」の終焉とグローバル経済の変容
「危機の時代」に突入したグローバル経済
長らく続いた米国経済の安定
欧州における「大いなる安定」
不安の芽を抱えたグローバル経済
拡張とクラッシュを繰り返す「普通の時代」に
欧州危機の深層:「最適通貨圏」を巡るジレンマ
甘かったユーロの財政基準チェック
ベルリンの壁崩壊とユーロ
最適通貨圏とは何か
北海道と本州が最適通貨圏を構成できる理由
欧州危機の教訓①:国債暴落が招く「危機の伝染効果」
欧州危機は日本にとって対岸の火事ではない
ギリシャの財政危機はどう広がったのか
危機は伝染する
起きてしまった財政危機を止めるのは難しい
欧州危機の教訓②:財政破綻という悪魔の囁き
財政健全化はイバラの道
世界中の国で繰り返されてきた財政破綻
ギリシャがユーロを離脱するとどうなるのか
ユーロ離脱の鍵を握るのは「政治」
日本の政治は市場の信任を得続けられるか
中国は「中所得国の罠」を克服できるか
転換期にある中国経済
「中所得国の罠」とは何か
輸出偏重の成長の限界
リーマンショック後の動き
中国は「人民元の自由化」を実現できるか
人民元論争の背景にあるもの
中国はなぜ人民元切り上げに慎重なのか
人民元への介入がもたらす過熱
人民元を自由化することのメリット
米中が主導する「グローバル・インバランス」の危うさ
グローバル・インバランスとは何か
縮小する米国の需要
誰が世界経済の需要を牽引していくのか
第3章 アジアの成長がもたらす産業構造の変化
激増するアジアの中間所得層
貿易に働くグラビティの力
急成長を続けるアジア経済
拡大するアジア市場を内需として取り込む
企業の海外展開が増えても日本は空洞化しない
中国製のトヨタの自動車はどこで作られているのか?
海外生産は空洞化の原因か?
海外展開を積極的に行う企業は国内の雇用を増やす
日本のものづくりを東アジアの分業構造に組み入れる
日本企業の韓国への投資
日本のものづくりの基盤
分業の広がり
アジアの消費ブームを「内需」として取り込む
盛り上がるアジアの消費ブーム
持続的な成長に欠かせない消費ブーム
日本の消費財の競争力
サービス分野にも広がるアジアの内需
「農村人口の減少」が地域経済の空洞化を克服する
地方から工場が出て行く
人口移動という視点
農村人口の減少が農業活性化への道
人口移動が地域を救う
産業構造の「スマイルカーブ」化がもたらす厳しい淘汰
「スマイルカーブ」とは何か
なぜ日本で「スマイルカーブ」が重要なのか
「流して通す」ビジネスの限界
中流部分の創造的破壊
第4章 TPPから考える日本の国際化戦略
利害関係が絡みあうTPP問題の本質
日本を揺るがすTPP論議
保護貿易の政治経済学
政治的アントレプレナーシップへの期待
自由貿易協定の今後
ますます重要性が高まる地域貿易協定
遅れて始まった東アジアの地域貿易協定
ゲームのルールが変わった
21世紀の通商システム
バイから地域へ
TPPの政治的・社会的な意義
ECFAで激変した中台関係
米国の理念をメキシコに輸出?
EUにノーベル平和賞
TPPとアジア太平洋地域の安定
TPPは日本の農業を活性化しうる
農業者はTPPに反対か?
質の低い日本のEPA
いまの制度が日本の農業をダメにする
市場開放を農業活性化につなげる
時代遅れになった日本の各種制度に必要な「内なる国際化」
硬直化する日本のシステム
世界に取り残された日本の医療制度
外を知ることの重要性
貿易の保護主義で栄えた国など歴史上ひとつもない
歴史は繰り返す
保護主義が広げた世界大恐慌
保護主義で繁栄した国はない
輸入の利益
第5章 財政の危機的状況と国債暴落のリスク
10年以上続いた日本経済の「不安な安定」
GDP比200%超の公的債務を支えられるのか
過剰な貯蓄
「不安な安定」が崩れるとき
必要なのは「将来に向けた投資」
ブラックホールに吸い込まれる日本の貯蓄資金
最も必要なのは企業の投資
高速道路の落盤事故
投資が活性化すれば財政運営に緊張も
財政再建の後退は国債暴落のリスクを高める
「破綻」と言われてもおかしくない日本の財政状況
財政運営の長期的見通し
財政再建の道筋
市場の信頼を得るために必要なこと
大切なのは財政健全化への信頼
市場の信頼を獲得した二つの政権
なぜデフレ脱却が財政再建に必要なのか
北欧に学ぶ財政のあり方
なぜ25%の消費税でも高成長を実現できるのか
経済を活性化させる税制
誰が雇用の責任を引き受けるべきか
第6章 創造的破壊による新たな成長戦略
イノベーションの重要性
伸びない生産性
生産性を高めるメカニズム
生産性の低いサービス産業
連続的なイノベーションと非連続的なイノベーション
日本に合ったイノベーションとは
なぜソニーはアップルに負けたのか
問題解決型のイノベーション
なぜ改革は難しいのか
日本の社会を変えるエネルギー戦略の転換
改革を求められる日本の電力システム
なぜ発送電分離なのか
小売自由化とディマンド・レスポンス
産業界の期待
成長を促す産業改革のツボ
大店法撤廃が変えた流通業
都市の姿を変えた不動産の流動化と証券化
航空行政の羽田と成田の棲み分け
ブロードバンドを広げたIT戦略会議の提案
成長戦略への期待
著者
伊藤元重 (いとう・もとしげ)
1951年静岡県生まれ。東京大学大学院経済学研究科教授、総合研究開発機構(NIRA)理事長。安倍政権の経済財政諮問会議議員。経済学博士。専門は国際経済学、ミクロ経済学。
ビジネスの現場を歩き、生きた経済を理論的観点も踏まえて分析する「ウォーキング・エコノミスト」として知られる。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」コメンテーターなどメディアでも活躍中。著書『入門 経済学』(日本評論社)、『ゼミナール 国際経済入門』(日本経済新聞社)、『グローバル経済の本質』(ダイヤモンド社)等多数。