金融緩和はなぜ過大評価されるのか
政治に翻弄される日銀の実力と限界
金融緩和はなぜ過大評価されるのか
政治に翻弄される日銀の実力と限界
書籍情報
- 藤田勉 著
- 定価:1650円(本体1500円+税10%)
- 発行年月:2013年03月
- 判型/造本:46並製
- 頁数:232
- ISBN:978-4-478-02410-2
内容紹介
アベノミクスの勢いで進む円安・株高は、持続するのか? 金融緩和だけで、円安・デフレ脱却・潜在成長率の引き上げ、雇用増…と山積する課題を一気に解決できるのか? 金融緩和の効果や、その実施者である日本銀行の巧拙、政治との関係など、過去や海外の事例との比較分析を交え、客観的にまとめた金融政策解説の決定版!
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目次
はじめに 新政権下で問われる日銀と金融政策のあり方
第1章 金融政策でデフレは解決できるのか
1 中央銀行が注目される理由
リーマンショック後の構造変化
ゼロ金利下の「非伝統的金融政策」とは?
財政規律が緩むリスク
日銀の金融緩和は不十分か
2 どうすればデフレから脱却ができる?
日本におけるデフレの実態
起死回生策は日銀のテレビ購入!?
デフレでも景気はよくなる
マネーとインフレの関係
金融緩和がインフレ期待を高められない理由
企業がお金を借りてくれない
3 インフレ・ターゲティングの考え方
日銀の「インフレ・ターゲティング」をめぐる動向
インフレ・ターゲティングの歴史と現状
「フレキシブル・インフレ・ターゲティング」が世界の常識
インフレ・ターゲティング導入を否定する米国とユーロ圏
2%のインフレ目標を導入した日本の今後
第2章 金融政策と為替・株の関係
1 金融緩和と為替レートの誤解
日銀が緩和不足批判を招く理由
円安の主因は「アベノミクス」か?
過去40年間の「円高」「ドル安」要因
グローバル化などで大きく変化する為替の決定要因
2 日銀による外債購入の是非
外債購入に効果があるのか
為替差損が発生するリスク
為替介入は外交問題でもある
外債より資源に投資すべきだ
3 金融政策で本当に株は上がるのか
金融緩和は基本的に株価上昇要因である
欧米の金融緩和と株価の関係
株高が長続きしないメカニズム
超金融緩和で淘汰が進まない電機業界
リフレ政策抜きでも日本株は上がる
第3章 日銀の独立性はなぜ大切なのか
1 独立性が必要な理由
中央銀行の独立性とは何か
「手段選択の独立性」はどの中央銀行も付与されている
2 独立性獲得の歴史
FRBの独立性の歴史は浅い
バランスのとれたFRBの独立性
ブンデスバンクのDNAを受け継ぐECB
日銀の独立性は低いのか?
3 日銀のガバナンスとコミュニケーション
委員会方式の有効性
FRBのオープンなボードメンバー選任プロセス
大きく変化した歴代の日銀総裁選び
国会同意人事はなぜ問題か
金融政策決定者に求められる資質
自ら選んだことを忘れている政治家
コラム ボードメンバー選任プロセスの国際比較
第4章 なぜ、国債は暴落しないのか
1 財政赤字拡大を尻目に上昇する国債相場
財政破綻・国債暴落論の誤り
個人金融資産は国債購入を担っていない
金融緩和効果を減殺するバーゼルⅢの「自己資本規制」
国際規制強化が銀行の国債保有を後押しする
2 日銀による国債引き受けの真実
「国債引き受け」にまつわる誤解
国債償還の「60年ルール」
問題はインフレではなく財政のモラルハザード
短期国債なら引き受けてもよいのか?
コラム 高橋財政の真実
第5章 日銀の役割を再検討する
1 バブル発生のメカニズムと中央銀行
ダボス会議の話題は債券バブルヘ
バブルの発生と崩壊は繰り返す
フロントランナーである日銀の役割
2 修正すべきコミュニケーション戦略
ECBの「ドラギ・マジック」
「市場との対話」の重要性
信認を高める対話作法がある
日銀のコミュニケーションの改善余地は大きい
政治に翻弄される中央銀行
コラム 意思決定とコミュニケーションの国際比較
おわりに
著者
藤田 勉(ふじた・つとむ)
シティグループ証券株式会社取締役副会長。一橋大学大学院博士課程修了、経営法博士。北京大学日本研究センター特約研究員。慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員。慶應義塾大学「グローバル金融市場論」講師。2006〜2010年日経アナリストランキング日本株ストラテジスト部門5年連続1位。内閣官房経済部市場動向研究会委員、経済産業省企業価値研究会委員、環境省環境金融行動原則起草委員会委員、早稲田大学商学部講師、第20回日本証券アナリスト大会実行委員会委員長などを歴任。米国公認証券アナリスト、ニューヨーク証券アナリスト協会レギュラー会員。
著書、『新会社法で変わる敵対的買収』(東洋経済新報社、2005年)、『三角合併とTOBのすべて』(金融財政事情研究会、2007年)、『はじめてのグローバル金融市場論』(毎日新聞社、2009年)、『上場会社法制の国際比較』(中央経済社、2010年)、『新興国投資ガイドブック』(東洋経済新報社、2011年)、『グローバル通貨投資のすべて』(2012年、東洋経済新報社)他多数。
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