依存症ビジネス
「廃人」製造社会の真実
依存症ビジネス
「廃人」製造社会の真実
書籍情報
- デイミアン・トンプソン 著/中里京子 訳
- 定価:1870円(本体1700円+税10%)
- 発行年月:2014年10月
- 判型/造本:4/6並製
- 頁数:352
- ISBN:978-4-478-02292-4
内容紹介
iPhone、フラペチーノ、危険ドラッグ、お酒、フェイスブック、アングリーバード、オンラインポルノ……。私たちは、なぜこうも簡単に「病みつき」になるのか? 人の欲、依存心、意志の弱さにつけ込むテクノロジーを駆使した「依存症ビジネス」の最強最悪のビジネスモデルを、元アルコール依存症のライターが暴く!
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目次
第1章 社会は私たちを「廃人」にしたがっている
──iPhoneいじりと甘すぎるスイーツに見る病みつきビジネス
▪カップケーキ、iPhone、鎮痛剤 ──21世紀をむしばむ「3種の欲望」
▪依存症の私と、健全な彼らのあいだに差はあるのか?
▪脳の「ストップ&ゴー」システムを狂わせるテクノロジー
▪見直される依存症、拡大する依存症
▪砂糖まみれのカップケーキと過食症
▪iPhone依存症 ──「病みつき」になるデザインとその被害者たち
▪なぜ新製品が出るたびにアップルストアに並ぶのか?
▪2億人がハマるよう仕組まれたゲーム「アングリーバード」
▪セレブの娯楽となった鎮痛剤「バイコディン」
▪ハイになるために医者に通う ──「乱用者」たちのあきれた実態
▪「感情のコントロール」というニーズと、それを過剰に満たす社会
第2章 依存症は本当に“病気”なのか?
──環境次第でだれもが「依存者」になりうる社会
▪依存者の集会で感じた2つの疑問
▪アルコール依存を救うAAが編み出した「依存症=病」という公式
▪2人の友人、その運命を分けたもの
▪依存症は本当に「疾患」なのか?
▪自力で立ちなおったら依存症ではない? ──医者たちの傲慢な言い分
▪ベトナム戦争の怪 ──なぜ兵士のヘロイン依存は突如として治ったのか?
▪病ではなく習慣 ──依存に至る4つの「入手しやすさ」とは?
第3章 なぜ自分を破滅に導く習慣をやめられないのか?
──病みつきビジネスが利用している脳の仕組み
▪突然ギャンブルとポルノにハマった70歳
▪快楽物質ドーパミンは「欲望物質」だった!?
▪パーキンソン病が内向的な人ばかりを襲うワケ
▪ヘロイン、MDMA、アルコール ──薬物に対する脳の反応カタログ
▪私たちを欲望のとりこにする合図はあらゆるところに
▪ただし、脳を見てもだれが依存症かはわからない
▪自分のためにならないとわかっていて、なぜわざわざやってしまうのか?
▪レジ横のクッキーから始まる依存症ビジネスの仕組み
第4章 お買い物とヘロインとお酒の共通点とは?
──自由市場と依存の関係は18世紀ロンドンで始まった
▪ショッピングモールは人を「ゾンビ」にする?
▪「カードを決済端末機に入れたくてたまらない」 ──買い物依存の実態
▪SNSもドラッグである ──テクノロジーと依存症の共犯関係
▪世界一人気のある向精神薬「アルコール」の歴史
▪18世紀ロンドンの「ジン狂い」に見る「入手しやすさ」という隠れた要因
▪ティッピング・ポイントを超えた先 ──だれが依存症になるかは予測できない
▪清朝200万人がアヘンにハマった本当の理由
▪カジノとストリップクラブ ──依存を巧みに利用する自由市場の力学
▪ヘロインが恐ろしいのは成分や習慣性が理由じゃない
▪依存症はすぐに「浮気」する
▪ある「CD収集狂」の告白
第5章 スイーツはもはやコカインだ!
──スタバの「フラペチーノ」に仕込まれた巧妙な戦略
▪オフィスを侵す「ごほうびスイーツ」
▪『スーパーサイズ・ミー』が糾弾すべきは「バーガー」ではなかった?
▪砂糖は脳を支配する ──ケーキとコカインの類似性
▪「コーヒーと一緒なら許される」 ──クリスピー・クリーム・ドーナツとスタバの戦略
▪外食の楽しみが「食べる」から「撮る」に変わったのはいつから?
▪スーパーの陳列棚は依存につけこむアイデアで溢れている
▪食品業界が悪用する4つの状況「HALT」
▪フラペチーノ ──欲望のスイッチを押す巧妙な製品
▪肥満になったナバホ族 ──食の「欧米化」は遺伝子をも変える
▪「食べ物によって自分をねぎらう」という新しい習慣
第6章 どこに行っても安く、大量に酒が手に入る世界で
──社会をアルコール漬けにするメーカーと販売網
▪ユーチューブに溢れかえる「酔っぱらい動画」
▪アルコールにおける男女格差は縮まっている!
▪私はこうして人生の支配権を失った① ──人づきあいの不安から酒に手を……
▪私はこうして人生の支配権を失った② ──酒が友人となり、AAの扉を叩く
▪酒造メーカーと販売店が狙う夜の世界経済圏
▪入手できるならMDMAでも精神安定剤でも ──若者の「酒×ドラッグ」文化
第7章 処方箋薬がこれほどいい加減とは!
──合法的なおクスリでもじゅうぶんトベる
▪ADHDの薬「アデロール」のもう1つの顔
▪18世紀のライプツィヒにタイム「トリップ」
▪9歳の子どもから元ジャンキーまで ──600万人がやってる処方箋の不正利用
▪私のアルコール依存、その最終段階 ──精神安定剤にハマって儀式を執りおこなう
▪「眠らずにすむクスリ」を乱用して勉強する大学生
▪「向知性薬」頼みの生活の副作用やいかに?
第8章 ゲームという新時代のギャンブル
──合言葉は「ユーザーを永遠のキャッシュマシンに!」
▪「ネトゲ廃人」デニスと9つの人格
▪「インターネット依存症」は存在するのか?
▪「ゲーム化」するテクノロジーが僕らをハメる
▪オンラインゲームの第一命題は「脳のハイジャック」
▪アプリ内課金という悪魔 ──デザインの力で気づかずに金を使わせる
▪人は偶然ゲームに病みつきになりはしない ──すべては開発者の戦略
▪「アングリーバード依存」は治療できるか?
▪「友達リクエスト」と「ブロック」でゲーム化される人間関係
▪ゲームへの依存が引きおこす2つの弊害とは
▪「絆」がドラッグになるとき
第9章 「無料ポルノ革命」の衝撃
──最新テクノロジーを最大限に活かす無秩序な業界とその餌食たち
▪ユーチューブとその兄弟が引きおこしたポルノの大洪水
▪インターネット・テクノロジーは子どもも老人も区別しない
▪とんでもない量のポルノが世界を駆け巡る
▪もはやヘンタイと後ろ指さされることなく「ハードコア」を見られる時代に
▪テクノロジーの進化とポルノの巧妙化・ハード化
▪無秩序な市場で行われるユーザーの「目」と財布の奪いあい
▪「エロトトキシン」説VSポルノ学習説。勝者は……
▪ポルノとドラッグの類似点
▪「コカイン×ポルノ」の二重依存者ポールの破滅
▪児童ポルノで逮捕された司祭① ──強迫的なコレクター
▪ポルノサイトはスロットマシンと同じ設計!?
▪児童ポルノで逮捕された司祭② ──孤独感からうっかりダウンロード
▪ヘンタイ性ですら「自分らしさ」に
▪リアルな女性に興奮できない若者たち
▪「供給主導型」の依存症ビジネスがもたらす悪循環
第10章 われらを誘惑から救いたまえ
──依存の「解毒」ですら商売になる時代で
▪元売人で、依存症専門の心理学者ジャフィ
▪ドラッグの合法化で問題は解決できるのか?
▪依存を理解するための3つのカテゴリー
▪いかに病みつきにさせられるか? ──競いあう企業と無防備な消費者
▪危険ドラッグは氷山の一角 ──グローバル化がもたらした貧困より重い「病」
▪マフィアと若者の思惑が一致して、マーケットが生まれる
▪依存の治療でさえビジネスに ──膨れあがるリハビリ産業
▪はびこる無力感と21世紀の「免罪符」
▪キリスト教もペルーのカルトも ──「依存から救う」をネタに勢力を伸ばす宗教家たち
▪われらを食い物にするビジネスとテクノロジーに対抗するすべはあるか?
▪「廃人」リスクが高まる社会で、己の欲望と向き合うために
▪謝辞
▪注記
著者
デイミアン・トンプソン(Damian Thompson)
1962年、英国レディング生まれ。オックスフォード大学を卒業した後、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で博士号取得(宗教社会学)。元『カソリック・ヘラルド』紙編集長。現在は『デイリー・テレグラフ』紙のレギュラーライター、およびテレグラフ・メディアグループの敏腕ブログエディター。
18歳から32歳までアルコール依存症に陥っていたが、以来、20年間にわたって禁酒している。
著書に『終末思想に夢中な人たち』(翔泳社)、『すすんでダマされる人たち』(日経BP社)など。
訳者
中里京子(なかざと・きょうこ)
翻訳家。1955年、東京生まれ。早稲田大学教育学部社会科卒業。20年以上実務翻訳に携わった後、出版翻訳の世界に。訳書に『ハチはなぜ大量死したのか』、『地球最後の日のための種子』(ともに文藝春秋)、『不死細胞ヒーラ』(講談社)、『個人インフルエンサーの影響力』(日本経済新聞出版社)、『ブライアン・コックス 宇宙への旅』(共訳、創元社)、『食べられないために』(みすず書房)など。不妊・生殖補助医療に関する国際学会の事務局も担当している。
電子書籍は下記のサイトでご購入いただけます。
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(デジタル版では、プリント版と内容が一部異なる場合があります。また、著作権等の問題で一部ページが掲載されない場合があることを、あらかじめご了承ください。)
最新情報(2014/11/10更新)
◆「読売新聞」(2014年11月9日)にて、書評が掲載されました!
評者は経済学者で東京大学教授の松井彰彦氏。
「世の中のありふれた物の多くに麻薬同様「病みつき」になるモノ〈フィックス〉が巧妙に仕組まれており、私たちが知らずに消費してしまっているとしたら、何が起こるのか。本書は世の中に蔓延する〈フィックス〉を産み出す仕組みとその恐ろしさを暴き出す警告の書である」(同紙より)。
http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20141110-OYT8T50038.html
◆「産経新聞」(2014年11月2日)にて、書評が掲載されました!
http://www.sankei.com/life/news/141102/lif1411020028-n1.html
◆「ダイヤモンド社 書籍オンライン」にて、本書の魅力を紹介する記事を掲載しました!(全5回)
http://diamond.jp/articles/-/60167
内容紹介
もはや病気ではない。
最強最悪のビジネスモデルである。
iPhone、フラペチーノ、危険ドラッグ、お酒、 |
うまくいかない仕事、ギクシャクする人間関係、
進化しすぎて使いこなせない大量の新製品……。
21世紀になったからといって、輝かしい未来は訪れなかった。
私たちの毎日は、相変わらずストレスにまみれているし、
社会は不確かさを増しつづけている。
そんな不安と戦い、何とか自らの感情をコントロールしようともがく私たちの耳元で、ささやく声がある。
「こっちに来て、これを使ってごらん。すぐに気分がよくなるよ」
それは、いまお手持ちのiPhoneに届いた、
フェイスブックやゲームアプリ「アングリーバード」からの新着通知かもしれない。
または、魅力的な写真で誘惑する、
スタバの「フラペチーノ」や次々ブームが生まれるスイーツの看板かもしれない。
さらには、いつでもどこでも安く手に入るお酒のテレビCMや、
安全なハーブだよ、と「危険ドラッグ」に誘うネットの書き込みかもしれない。
そう、いつの間にか、私たちの毎日は
「すぐに気分をよくしてくれるモノ」であふれかえり、
ますますそうしたモノに依存するよう促されているのだ。
そうしたモノが快感をもたらすメカニズムは、
MDMAやヘロインなどのいわゆる依存物質がもたらすものと同質だと気づかずに。
企業も、もはやつくりすぎたモノを売るには、
より早く、大量に消費させるしかなく、テクノロジーを駆使して「期待感」をあおり、
いかに他社より強い快感をもたらせるかを競いあっている。
一方、無防備な消費者である私たちは、そうした「自滅的な誘惑」に日々さらされ、
「依存症」という習慣を身につけつつあるのだ——。
自らもアルコール依存に陥っていた著者が、
綿密な取材、そして実体験をもとに「テクノロジーとビジネスの共犯関係」、
そして依存症を生み出す社会の真実を暴く。
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