元法制局キャリアが教える 法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方
元法制局キャリアが教える 法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方
書籍情報
- 吉田利宏 著
- 定価:1870円(本体1700円+税10%)
- 発行年月:2014年09月
- 判型/造本:A5並製
- 頁数:304
- ISBN:978-4-478-02178-1
内容紹介
リーガルマインドは、多く時間と労力をかけて法律や条文に触れることでいつの間にか身についく力。しかし、初学者に冷たい法律の世界では、多くの人がそれを体得する前に挫折してしまうのが現状だ。誰も教えてくれなかったリーガルマインドと法律を読み解くセンスを最短で養う方法を公開。法律を学ぶすべての人に役立つ!
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目次
はじめに
PART 1 法律を学ぶ目的を知る
第1章 法律は暗記科目ではありません
1 法律を学ぶ意義を知っておこう
法律を学ぶ意義はリーガルマインドを養うこと
リーガルマインドを構成する2つの能力とは?
異なる利益をどう調整するか
2 リーガルマインドにはたくさんの効能がある
リーガルマインドにはどんな効能があるのか
効能① 条文を読む力が身につく
効能② 資格試験など学習の効率がアップする
効能③ 現実の問題に当てはめる力(解釈力)が身につく
3 学べば学ぶほど法律が面白くなる!
楽しくリーガルマインドを身につけよう
解釈力とリーガルマインドのらせん階段とは?
4 さあ、学習を始めよう!
法律は暗記科目ではありません
法律や条文を通じてリーガルマインドを身につけよう
狙い① 「論理的なセンス」を磨く
狙い② 「公平性の感覚」を身につける
狙い③ 法令用語を知る
狙い④ 法律どうしの位置関係を意識する
狙い⑤ 「解釈」について学ぶ
PART 2 条文から学ぶ「公平性」と「論理性」
第2章 法律の構造には意味がある
1 法律は筋金入りの理屈屋です
法律を読めば論理的なセンスが身につきます
法律の「論理的なテクニック」を知ろう
2 法律の構造には論理的なルールがある
本則こそ法律の本体
法律の構造はコース料理と同じです
「総則」は前菜のようなもの
メインディッシュは実体的規定
雑則があるから実体的規定が引き締まる
3 「題名」から法律の内容をイメージしよう
題名は短い言葉で内容を伝える
「特別」や「臨時」の言葉が意味するもの
「臨時」は時期を限った特別法
かなり改正していても「一部改正法」
題名で目的や方向性を示すこともある
4 第1条に置かれた「目的規定」に注目しよう
第1条には「目的規定」が置かれている
法律の心意気を感じ取ろう
目次のない法律では第1条が力を発揮する
手段と目的との関係を意識しよう
●練習問題
5 条文の並び方のルール(時系列の支配)を知ろう
人は時間のなかに身を置く生き物です
条例で「時系列の支配」を確かめてみよう
会社法に見る「時系列の支配」
6 例外的な規定は後回しになっている
時系列に支配されない場合のルール
民法の「遺言の方式」を見てみよう
遺言の章で見る「時系列の支配」
●練習問題
第3章 条文の構造のルールを知ろう
1 「等」の読み方をマスターしよう
法律の「等」には厳密なルールがある
「等」の使い方で変わる意味を知っておこう
「等」が読めて初めて条文が正確に読める
2 条文の「主語」と「文末」に注目してみよう
法律は主語と末尾がハッキリしている
経理義務に関わる規定は特に要注意
「主語を述語に近づける」工夫とは?
3 文末表現の意味を押さえておこう
末尾表現のバリエーションを見てみよう
「〜する」と「〜しない」
「〜することができる」と「〜することができない」
「〜するよう務めなければならない」と「〜しないよう務めなければならない」
「〜しなければならない」と「〜してはならない」
「〜するものとする」と「〜しないものとする」
●練習問題
4 合理的な文章の原則① 「パンデクテン方式」を知っておこう
法令は「パンデクテン方式」で書かれている
繰り返しを避けて規定をスッキリさせる
5 合理的な文章の原則② 「準用の掟」について知っておこう
「準用」は似た対象に当てはめること
「ぐるぐるピザ」の食べ放題ルール
「読替規定」でわかりにくさを補う
6 切り離しの技法① 手違反の背景や理由は別に説明される
ナレーションに学ぶ「切り離し」の手法
提案の理由は切り離されている
「理由」が少し物足りないと感じる理由は?
国会審議にはマイナス要素はいらない!?
一部改正法は後ろから読め!
「前文」についても知っておこう
7 切り離しの技法② 附則を切り離す理由を知っておこう
上杉トメさん(92歳)の憂鬱
経過措置は附則に置かれる
附則の切り分けは論理性を高める知恵
●練習問題
第4章 法律が示す「公平の感覚」を読み解こう
1 公平を探しつつ条文を読む目的とは?
正義や公平の広がりに触れよう
リーガルマインドを手にするための王道
2 法律が実現しようとする価値を探そう
「価値」に照らして条文の意味を考える
手がかりになるのは「目的規定」
法令の種類やポジションをヒントにしよう
3 対立する価値や利益を意識する① 行政不服審査法
実現しようとする価値はひとつとは限らない
行政不服審査法での2つの価値
「そこそこの手抜き」で2つの価値を実現する
4 対立する価値や利益を意識する② 個人情報保護法
価値の調整に苦心する個人情報保護法
なぜ「過剰反応」が起こったのか
5 権利や利益を制限する際の「比例原則」
道路交通法の目的規定を見てみよう
免許制度は「運転する自由」を奪っている!?
もしも「自転車運転免許」が導入されたら
規制のメリットはデメリットを上回るか
ネギを切るのにナタを持ち出してはいけない
●練習問題
6 公平が何かを探ろう① 実質的公平とはどんなものか
1枚の「とんかつ」をどう分けるか
どの程度なら実質的平等として認められるのか
平等を実現するために大切なこと
7 公平が何かを探ろう② 民法が考える公平とは
お互いが納得した結果こそ「公平」
民法には原理原則がある
「一般条項」の内容を見てみよう
「一般条項」はなぜ抽象的なのか
●練習問題
第5章 条文を正しく読むための法令用語
1 法令用語を理解することの大切さを知ろう
ある営業マンと社長との会話から
法令用語に隠されたヒントを探ろう
2 条文の構造を示す用語① 「又は」「若しくは」と「及び」「並びに」
「又は」と「若しくは」
「及び」と「並びに」
●練習問題
3 条文の構造を示す用語② 「その他」と「その他の」
「その他」と「その他の」
ある中華料理屋のメニューで
会社法の条文を見てみよう
4 条件について示す用語 「場合」と「とき」
「場合」と「とき」には特殊なルールがある
「者」と「もの」
5 基準点を示す用語と「初日不参入の原則」
「以上」と「超える」「以下」と「未満」
「から〜まで」
「から」と「から起算して」
「初日不参入の原則」の例外とは?
6 期間の計算を練習してみよう
期間の計算を練習しよう①
期間の計算を練習しよう②
年齢の数え方に関する特例を知っておこう
7 繰り返しを避ける用語 「準用する」「例による」
「準用する」
「読替規定」を味わってみよう
「例による」
●練習問題
PART 3 「価値」を意識して法律を読む
第6章 法律の分類を知っておこう
1 法の分類とポジションを見つけよう
分類ができれば法律が理解しやすくなる
いろいろある法律の分類方法
2 法律を分類してみよう① 公法と私法
公法と私法のイメージを図にすると?
公法は「権限の枠」となる法律です
私法は「自由な世界」に存在する法律
3 法律を分類してみよう② 実体法と手続法
実体法、手続法とはどんな法律なのか
実体法と手続法との関係は?
4 実体法を読み解く楽しさを知ろう
「その法律が大事にしている価値」を読もう
ロジカルシンキングの楽しさとは?
5 手続法が大切にする価値を読み解こう
手続の理由を理解するという楽しみ方
誤った不利益処分をしないために
6 法律を分類してみよう③ 一般法と特別法
一般法というのは広く一般的な規定
特別法の「見つけ方」を知ろう
7 特別法の論理的な「読み方」を練習しよう
特別法の論理的な「読み方」①
特別法の論理的な「読み方」②
8 「基本法」とはどんな法律なのか?
この頃、流行の「基本法」
基本法の必要性とデメリット
心配なのは法律本来の役割が見失われること
第7章 法律の世界地図を描こう
1 法律の世界を4つのゾーンに分ける
法律の世界地図を描いてみよう
まず、最初に憲法です
2 公法ゾーンを読む① 国の刑罰権にかかわる法律
「公法ゾーン」は3つのエリアに分けられる
おしおきエリアの実体法
刑法や軽犯罪法は「横浜ラーメン博物館」みたいなもの
おしおきエリアの手続法
3 公法ゾーンを読む② 国の基本的なしくみを定めた法律
国の基本的なしくみを定めた「憲法附属法」
「憲法附属法」以外の法律を見てみよう
4 公法ゾーンを読む③ 行政法
行政法は3つの分野に分けられる
行政作用法
行政組織法
行政救済法
国家賠償法
賠償と補償について知っておこう
5 社会法ゾーンを読む 労働法と経済法
「社会法」とはどんな法律か
社会法のなかの「労働法」
社会法のなかの「経済法」
経済活動のルールを定める「経済法」
消費者のための経済法(消費者法)
特定の分野の経済活動を規制する経済法(業界法)
6 私法ゾーンを読む 私人どうしの関係を定めた法律
私法の代表例は民法と商法
商法は民法の特別法です
7 法律の「進化の系統樹」を読み解こう
「進化の系統樹」的視点のご利益とは?
労働基準法を系統樹的に見てみよう
系統樹のイメージを示してみると?
●練習問題
第8章 民法・憲法・行政法を読む
1 対立する利益調整で読む民法
民法の「大人げ」とはどんなものか
民法がむやみに取引を否定しない理由
2 民法の調整場面について考えてみよう
調整場面の例① 制限行為能力者がひとりでできること
調整場面の例② 保護者の同意のない結婚
「隠れキャラ」を通じての民法の楽しみ方
●練習問題
3 人権保障の指示書としての憲法を読む
憲法の本質を知ろう
最近の憲法改正をめぐる議論
4 憲法の統治規定と人権保障の関係を知ろう
憲法の最大、唯一の目的は「人権を守ること」
「表現の自由」の学び方
5 憲法が定める生存権について考えよう
憲法25条と生活保護
財政状況と生活保護の引き下げは別問題
社会権が「国による自由」と呼ばれる理由
6 人権保障のしくみしての裁判所
裁判官の身分保障と国民審査について知ろう
もし、司法の独立が守られていなかったら?
●練習問題
7 手続の流れで読む手行政法
「時系列の支配」を意識しよう
行政代執行法に見る「時系列の支配」
●練習問題
8 総仕上げとして読む国家賠償法
国家賠償法と民法との関係は?
実現しようとする価値を探ろう
再び民法との関係を考えよう
「とことん面倒をみる」理由を理解しよう
条文や判例の学習にどう生かすか
第9章 解釈がわかれば法律はもっと楽しくなる
1 「解釈する」というのはどういうことなのか?
なぜ「解釈」が必要なのか
100年以上も解釈で乗り切った「番頭、手代」
2 条文を読み解くことはすべて解釈です
最終的な解釈権者は裁判所
会社や会社員も日々、解釈している
3 解釈の種類とお作法 文理解釈と論理解釈
まず「文字通り読むこと」から出発する
「論理解釈」は英語の意訳に似ています
「電車の窓から手を出してはいけない」を解釈すると?
ストーカー規制法の解釈と改正
4 実務における「解釈」はどんな意味を持つのか
妥当な結論が出るように解釈する
労働基準法34条をどう解釈するか
国を押し切った「必要性」からの解釈
人を説得できるだけの「根拠」を探す
5 条文が発するシグナルを感じて読み解こう
条文から始まり条文に終わる
シグナルを感じることがスタートです
シグナルを感じながらの学習方法とは?
「解釈」と「リーガルマインド」との関係
索引
著者
吉田利宏(よしだ としひろ)
元衆議院法制局参事
1963年神戸市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、衆議院法制局入局。以後15年にわたり法律案や修正案の作成に参画。現在、著述、講演活動を展開。早稲田大学エクステンションセンター講師、自治体研修講師・各種審議会委員。
主な著書に、『元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術』(ダイヤモンド社)、『つかむ・つかえる行政法』(法律文化社)、『法令読解心得帖』、『法実務からみた行政法 エッセイで解説する国法・自治体法』(いずれも共著・日本評論社)、『新・法令用語の常識』(日本評論社)などがある。
電子書籍は下記のサイトでご購入いただけます。
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