目次

第１章◎街が熱く、ひとつになった日

—根付いた証「平均視聴率52.5％、瞬間最大73.5％」

2006年10月26日・札幌ドーム／「３年」に込められた思い／赤く染まるスタンド下の攻防／サッカーと野球—スポーツビジネスに出会ったころ／苦境を超えて—ファンの目の前で勝ちたい／最後の打席／そして、栄光の瞬間へ／地元に愛されるチームを作ること

第２章◎「自転車で20分の範囲」を味方に！

—〝格上のライバル〟の牙城に挑む赤字クラブでの成功／セレッソ大阪

セレッソ大阪との出会い／社の「弱点」だからこそ—赤字クラブに乗り込む／当事者意識の少なかった経営陣／サッカースクールのシステムを大改革／バイエルン・ミュンヘンとアドバイザリー契約を結ぶ／地域密着とファンサービス／「自転車で20分以内のところだけ回ればいい」／地元の協力を得た「フレンドリーショップ」／サポーターズミーティングでつながりを深める／梶野・勝矢・大倉の「強化部三人体制」／バス40台を連ねてアウェー観戦／サポーター同士の輪をつないでいく／直接交渉で実現したパルマとの親善試合／黒字転換を見届けて、セレッソを去る

第３章◎広大なホームタウンを逆手にとる多彩なアイデア

—失敗を糧にする〝新天地〟での挑戦／北海道日本ハムファイターズ

ファイターズ、北海道に移転／大赤字・課題山積のファイターズへ／「セレッソ以上のぬるま湯」に呆れる／「野球界の旧習」からの脱却を目指して／大赤字の裏にあったもの／組織内部の「横のつながり」を強くするために／コスト削減—経費の意識改革／「親会社への貢献」から「自立への挑戦」へ／すべての仕事が「地域密着」につながる／地域密着をスムーズにした北海道の土壌／セレッソとファイターズで異なる地域密着の形／メディアの力を活用する／アイデア満載のチケットで観客増員／ファン参加型のイベント計画／「よい失敗」と「悪い失敗」がある／緻密さと「ハート」を併せ持った組織

第４章◎地域密着球団の成し遂げたこと

—選手と地元、ファンの快進撃

最初から高かった選手の意識／「掘り出し物」を見つけるシステム作りの計画／緻密な加点方式評価システム「ベースオペレーションシステム」／資金力頼みの選手獲得はもう古い／06年開幕戦「43000プロジェクト」／新庄、小笠原が去った後で／「チームの一員」としてのダルビッシュの活躍／ヒルマンから梨田へ—ファイターズの求める指揮官とは／梨田新監督のもとで／意識的に「プロ野球以外」の眼を入れる理由／選手にも一般常識が必要である／「強いチーム」と「愛されるチーム」との相関関係／私と選手との適正距離とは／選手控室での小さなコミュニケーション／選手たちとの交流、そして……／ファイターズを去る決心と、最後の大仕事／ドラフト当日—指名選手「斎藤佑樹」／急遽決まったくじ引き役／「真ん中のくじ」を選んだ瞬間／入団会見／「持ってる社長」のグッズ販売／「強運の主」と呼ばれる日々に思うこと

終章◎人に、地域に愛されることが使命

—スポーツビジネスにできることは何か

経験を生かすこと、未知を歓迎すること／東日本大震災—スポーツビジネスにできることは何か／プロ野球は何を見据えるべきか／誠意を尽くせばいつか戻ってくる／未知なる世界へ、ためらわずに

あとがき

著者

藤井純一（ふじい じゅんいち）
1949年大阪府生まれ。近畿大学農学部水産学科卒業後、日本ハムに入社。京都・奈良の営業所を経て、本社へ。営業企画、広告宣伝を経て、1997年、Jリーグクラブのセレッソ大阪（大阪サッカークラブ株式会社）取締役事業本部長に就任、2000年に同社代表取締役社長。
一旦本社に戻った後の2005年、株式会社北海道日本ハムファイターズ常務執行役員事業本部長に就任。翌年より代表取締役社長。日本一（2006年）という成績面だけでなく、経営の黒字転換、本拠移転からの地域密着という難しいミッションを成功させた張本人。現在は、近畿大学経営学部教授。